11月26日~12月2日の週に観た劇場映画
11月26日(金曜)~12月2日(木曜)の週は3本の劇場映画を観た いずれも感動の大作だった
★護られなかった者たちへ(134分・日・2021)
★そして、バトンは渡された(137分・日・2021)
★MINAMATA ーミナマター(115分・米・2020)
(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品
★護られなかった者たちへ(134分・日・2021) ⇒原作は中山七里(なかやましちり、1961~・岐阜県出身)の同名推理小説(2018) 東日本大震災(2011)後の仙台を舞台に、生活保護制度を巡る軋轢と殺人事件を扱う社会派ミステリー 中山の小説が映画化されるのはこれが3作目 監督は「64-ロクヨン-」(2016)の瀬々敬久(せぜたかひさ、1960~・大分県豊後高田市出身) 佐藤健(さとうたける、1989~・さいたま市岩槻区出身)、阿部寛(1964~・横浜市神奈川区出身)、清原果耶(きよはらかや、2002~・大阪市出身)などが出演 人間愛の崇高さを描くとともに社会制度の全体最適と部分最適との矛盾に迫る、お涙頂戴の作品 撮影は2020年夏に行われたようで、ロケ地は宮城県仙台市、気仙沼市、石巻市、塩竃市など 2020年冬の公開を目指していたが、今年10月1日に延期された 主題歌は桑田佳祐(1956~・神奈川県茅ケ崎市出身)の「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」(2011)
★そして、バトンは渡された(137分・日・2021) ⇒2019年の第16回本屋大賞を受賞した、瀬尾まいこ(1974~・大阪市出身)の同名ベストセラー小説(2018)を映画化 2021年10月現在で小説の累計発行部数が110万部以上とのこと 1人の少女がいろいろな、ありそうでなさそうな苦難を乗り越えて成長する姿を描く 実父1人、継母1人、継父2人の下で育てられるのは全くのファンタジーと思われるが、明るく前向きに生きる様子は共感と涙を呼ぶ 観客の大多数は女性で泣いていた模様 監督は同時期に公開された「老後の資金がありません!」(2011)の前田哲(まえだてつ、大阪出身) ヒロインは永野芽郁(ながのめい、1999~・東京都出身)、その小学生時代を稲垣来泉(いながきくるみ、2011~)が演じた 実父は大森南朋(おおもりなお、1972~・東京都出身)、継母は石原さとみ(1986~・東京都出身)、2人の継父は市村正親(1949~・埼玉県川越市出身)と田中圭(1984~・東京都江東区亀戸出身)がそれぞれ起用された 永野と田中そして稲垣と石原の組合せの演技が多く、大部分のシーンはこれら またヒロインと岡田健史(1999~・福岡市東区出身)が扮する同級生⇒恋人のピアノ演奏場面も見所 配給元のワーナー・ブラザースが予告、メイキング、インタビューなど多数の映像をYouTubeに掲載しており、写真は2021年10月5日に行われたジャパンプレミアの一コマ 撮影は2020年10月20日~11月26日に行われ、ロケ地は栃木県、千葉県、東京都、兵庫県など各地にわたっており、ロケハンには一苦労あったと思う
★MINAMATA ーミナマター(115分・米・2020) ⇒ウィリアム・ユージン・スミス(1918~1978・米国カンザス州ウィチタ出身)とアイリーン・美緒子・スミス(1950~・東京出身・父が米国人)の写真家夫妻が水俣市(熊本県)で撮影活動した様子などをドキュメンタリー風に製作した作品 スミス夫妻は1971年から3年間水俣市に移り住み取材を続け、1975年に米国で念願の写真集「MINAMATA」英語版を出版(日本語版は1980年出版) この写真集は世界中で大反響を呼び、水俣病の悲惨な実情が広く世界に知られることとなった 水俣病が公式に確認されたのは1956年だが、政府がその原因を特定したのが1968年 それまでチッソ水俣工場は有機水銀(メチル水銀等)を含んだ排水を無処理で垂れ流し続けた 背景に原因を知りながらその事実を隠し続けた会社と通産省の隠蔽体質がある 患者家族がチッソを相手に起こし全面勝訴した第1次訴訟が1969~1973年(本作で描かれたもの)、水俣病被害者救済法(特措法)が成立したのは2009年のこと また1976年にはチッソ経営者2人の業務上過失致死罪有罪が確定 こうして被害者補償が進むこととなったが、いまだに被害と補償の問題は続いている 本作ではユージン・スミスを製作も兼ねるジョニー・デップ(1963~・米国ケンタッキー州出身)が、アイリーンを美波(みなみ、1986~・東京都出身・父がフランス人)がそれぞれ演じている 2人の出会い、来日の経緯、チッソ水俣工場への潜入などの描写は、事実と異なるフィクションらしいが、水俣病に苦しむ住民たちの生活に鋭く迫っている 他に真田広之(1960~・東京都品川区出身)、國村隼(くにむらじゅん、1955~・大阪市出身)、加瀬亮(1974~・横浜市出身)、浅野忠信(1973~・横浜市出身)などの国際派俳優陣が出演 音楽もまた世界的に活躍している坂本龍一(1952~・東京都中野区出身)が担当 ユージンの死後アイリーンが写真集の著作権管理をしていたが、遺族の意向もあり水俣病の被害を象徴する代表作「入浴する智子と母」は非公開とされていた 今回本作のメッセージを正しく伝えるためにはこの写真が必要と封印を解いたとのこと 撮影は2019年1月~3月にセルビア・ベオグラードとモンテネグロ・ディヴァト・花の島で行われたという ベオグラードの倉庫内のセットで内装を撮影し、ディヴァトで海岸・外観を撮影したようだ 熊本県芦北町でも若干のロケ撮影は行われたようだが、現在の水俣には1970年代の雰囲気が全く残っておらず、奇蹟的にそれによく似ているディヴァト海岸に辿り着いた模様 最終日近くにディヴァト海岸で撮影した住民が集合するシーンでは、欧州などから大勢の日本人エキストラが集められたそうだ 原題も"Minamata"
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