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2022年11月17日 (木)

10月下旬に観た劇場映画

10月下旬には3本の劇場映画を観た だんだん大作が登場してきたようだ

グッド・ナース(121分・米・2022)
★★RRR(179分・印・2022)
アムステルダム(134分・米・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

926b91d844763560グッド・ナース(121分・米・2022) ⇒米国のジャーナリスト・作家であるチャールズ・グレーバー(アイオワ州出身)の著書"The Good Nurse: A True Story of Medicine, Madness, and Murder"(米・2013)を映画化 この本のタイトルを直訳すると「良い看護師:医学、狂気、殺人の実話」という感じだろうが、邦訳本は出版されていないようだ これをベースに「1917 命をかけた伝令」(119分・英・米・2019)の共同脚本で知られるクリスティ・ウィルソン=ケアンズ(1987~・英グラスゴー出身)が先に脚本を作成 トビアス・リンドホルム監督(1977~・デンマーク出身)が 7年前にこの脚本を読み映画化する決断をした模様 本作はネットフリックスが製作 話はおどろおどろしいもので、海軍退役軍人のチャールズ・カレン(1960~・米国ニュージャージー州出身)が1986年に看護師になった後、2003年までにニュージャージー州とペンシルベニア州の病院で多数の入院患者を殺害したとされる 殺害方法は点滴液に糖尿病薬インスリンを注入する、あるいは心臓病薬ジゴキシンを注射するなどだったようだ 日本でも似たような事件があったように記憶している カレンは2002年からサマセット医療センターの集中治療室(ICU)で2人の娘のシングルマザーであるエイミー・ローレンと同僚に カレンは心臓病を隠しながら夜勤で働くローレンを助け、2人の娘とも親しくなる 2003年にローレンは警察に協力しカレンの逮捕・起訴につなげる カレンは29件の殺人を自白したが、16年間で400件以上の殺人を犯したものと推定されている 米国でも看護師不足の下、利益至上主義の病院が事件化を避け、すぐに疑わしき看護師を解雇するが、またその看護師が別院ですぐに採用されるという悪循環が指弾された 本作ではローレン役を「ゼロ・ダーク・サーティ」(157分・米・2012)のジェシカ・チャスティン(1977~・米加州サクラメント出身)が、カレン役を「博士と彼女のセオリー」(124分・英・2014)のエディ・レッドメイン(1982~・英ロンドン出身)がそれぞれ演じている 2人ともアカデミー主演俳優瘴の受賞者である 撮影は2021年4月から米国コネチカット州スタンフォードあたりで行われた模様 筆者は1987年から3年間余りこの近くに住んでいたので懐かしい 原題は"The Good Nurse"

8f9bc65432051aef★★RRR(179分・印・2022) ⇒またインドからとんでもない劇場映画作品が投入されたようだ 約3時間と長編だが、あれよあれよという間にストーリーがダイナミックに進行 英領インド帝国とニザーム王国(ハイデラバード王国)に対する抵抗運動・独立運動を指揮した2人の革命指導者A・シータラーマ・ラージュ(1897or1899~1924・印マドラス:現チェンナイ出身)とコムラム・ビーム(1901~1940・印ハイデラバード出身)を題材にしたファンタジー・フィクションとのこと 2人は実際に会うことはなかったようだが、本作では想像力を極限にまで働かせ、壮大な叙事詩的ミュージカル・アクション作品に仕立て上げている ヒンドゥー神話の2大叙事詩「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」の影響もあるという 監督・脚本は「バーフバリ 伝説誕生」(138分・印・2015)「バーフバリ 王の凱旋」(141分・印・2017)のS・S・ラージャマウリ(1973~・印ライチュール出身) 原案はやはり映画監督・脚本家である彼の父親が創っているそうだ 主役のビームとラーマ役にはインドの人気実力派俳優N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア(1983~・印ハイデラバード出身)とラーム・チャラン(1985~・印マドラス:現チェンナイ出身)をそれぞれ起用 作品タイトルはラージャマウリ、ラーマ・ラオ、ラームの3人のイニシャルから「RRR」と仮に名付けられたようだが、正式名になる時には、"Rise"(蜂起)"Roar"(咆哮)"Revolt"(反乱)のイニシャルと定めたとのこと 本作の使用言語であるテルグ語(印南東部の公用語)では「怒り」「戦争」「血」にもなっているようだ 本作の見所は満載だが、1人の警官対無数の抗議群衆の闘い、2人が超高速で同期して踊るナートゥ・ナートゥ・ダンス、王宮宮殿での多数の猛獣や動物と入り交じった戦闘などのシーンは見落とせない 観ていると何だかインドのイギリスに対する怨念を感じないでもない 撮影は2018年11月から2021年8月まで行われた スタジオ撮影はインド・ハイデラバードのアルミニウム工場内に建設したスタジオやラモジ・フィルム・シティ(ハイデラバードにあるスタジオ)で、またロケ撮影は各地の森、デリー、オランダ、ブルガリア、ウクライナなどで実施 2020年にはCOVID-19パンデミックの影響で撮影が長期中断 2020年末から撮影再開され、再中断をはさみながらも、2021年8月にウクライナのキーウ(現在ロシアとの戦争で話題集中)で最後にダンス・シーンが撮影された 結局撮影期間が2年9ヶ月という長期になったため、作品公開予定が当初の2020年7月から2022年3月まで延期された 撮影日数も300日以上になり、3,000人の技術スタッフと9人の共同監督が動員されたとのこと またアクション・シーンの撮影には75日間が費やされ40人の格闘家が撮影に参加したという インドの国内流通を容易にするためテルグ語に加えてタミル語、ヒンディー語、カンナダ語の吹替版も製作し、また高度なVFXも採用したためポスプロも大規模に したがって製作費は100億円近くに達した模様 原題も"RRR"

640アムステルダム(134分・米・2022) ⇒二つの世界大戦の間の1933年に、米国ではビジネス陰謀(Business Plot)と呼ばれる騒動があったようだ 裕福な実業家達が退役海兵隊少将スメドレー・バトラー(1881~1940・米ペンシルベニア州ウエスト・チェスター出身)を担いでファシスト退役軍人組織を作り、当時のフランクリン・D・ルーズベルト第32代米国大統領(在任:1933~1945・民主党、1882~1945・米NY州ハイド・パーク出身)を追い落とそうとしたという バトラーはFDR寄りだったためにこの陰謀は実行されず、彼は米国連邦議会下院の委員会で証言することになった 本作はこの実話を基に脚本を創り、第一次世界大戦(1914~1918)下のフランス戦線で出会った2人の米国兵士と1人の米国看護婦の友情と、25年後にニューヨークで陰謀に巻き込まれる3人を描く 「アメリカン・ハッスル」(138分・米・2013)などでアカデミー賞ノミネートの常連であるデヴィッド・O・ラッセル(1958~・米ニューヨーク出身)が本作の脚本と監督を兼任 生涯の友情を誓う3人に、クリスチャン・ベール(1974~・英ウェールズ出身)、マーゴット・ロビー(1990~・豪ゴールド・コースト出身)そしてジョン・デヴィッド・ワシントン(1984~・米ロサンゼルス出身)を起用 冒頭に大人気米国歌手のテイラー・スウィフト(1989~・ペンシルベニア州ウエスト・レディング出身)がチョイ役で出演 前述のバトラーと思われる役をロバート・デ・ニーロ(1943~・米ニューヨーク市出身)が演じている 友人3人の人物像がかなり突飛なもので、また本筋の陰謀との関係がやや分かりにくく、頭が混乱するかもしれない 個々のシーンは強めで印象的な演出もあって、ユニークで面白いと思う 主要撮影は2021年1月~3月に米国ロサンゼルスで行われたとのこと その後、COVID-19パンデミックの影響を受けながらもボストンでも撮影されたらしい 日本の劇場では高齢の観客が多かったようだが、米国でも若者受けしなかったためか今のところ赤字作品のようだ 原題も"Amsterdam"

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