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2022年12月の2件の記事

2022年12月29日 (木)

12月前半に観た劇場映画

12月前半には4本の劇場映画を観た なかなか理解が難しい作品も多かった

ある男(121分・日・2022)
ビー・ジーズ 栄光の軌跡(111分・米・2020)
MEN 同じ顔の男たち(100分・英・米・2022)
夜、鳥たちが啼く(115分・日・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

cff868e3590a57c8ある男(121分・日・2022) ⇒上質なミステリー作品だと思うが、人と人が複雑に入れ替わっているので、結構分かりにくい 特にアルコールに浸されていた脳には… 人は何をもってその人と判断できるのかという、結構根源的な問いかけをしてくる また物語の裏には、犯罪者の家族への差別や民族・人種差別などの差別問題にへの視点もあるように思える 芥川賞作家・平野啓一郎(1975~・愛知県蒲郡市出身)の同名原作小説(2018)の映画化 「蜜蜂と遠雷」(118分・日・2019)の石川慶監督(1977・愛知県豊橋市出身)が原作に惚れ込み製作 主要な3人の出演者は妻夫木聡(1980~・福岡県柳川市出身)、安藤サクラ(1986~・東京都出身)そして窪田正孝(1988~・神奈川県出身)で、いずれも芸達者 筆者は11月に柳川を訪れて川下りを楽しんだが、内堀脇に柳川高校があり「ここに妻夫木が通っていた」と船頭さんが叫んでいた 本作の撮影は2021年1月~3月に行われた模様 ロケ地は山梨県笛吹市、静岡県富士宮市、北九州市、宮崎市、群馬県渋川市伊香保温泉、横浜市、川崎市などか なお、本作は第79回ヴェネツィア国際映画祭(2022)オリゾンティ・コンペティション部門正式出品作品となった

f5807d5e95fc2852ビー・ジーズ 栄光の軌跡(111分・米・2020) ⇒筆者が高校1年生の時に日本でも大ヒットした、ビージーズの「マサチューセッツ」(英・1967)はよく覚えている 本作はビージーズの生立ちから活躍までを紹介するドキュメンタリー作品 ビージーズの中心メンバーは、英国マン島出身のバリー・ギブ(1946~)、ロビン・ギブ(1949~2012)そしてモーリス・ギブ(1949~2003)の3兄弟 ロビンとモーリスは二卵性双生児 1人生き残り、米国フロリダで生活しているバリーのナレーションで話は進むが、貴重な映像と音源で一杯 3兄弟は1950年に英国マンチェスターに、そして1958年に豪州ブリスベンに移住 早くから音楽活動を始めるが豪州で人気バンドとなった ビートルズのマネジャーであったブライアン・エプスタイン(1934~1967・リヴァプール出身)が目を付け、1967年に英国でワールド・デビュー 1975年からは活躍の舞台を米国に移し、「サタデー・ナイト・フィーバー」(118分・米・1977)に楽曲が多く取り入れられ一大ディスコ・ブームを巻き起こした 原題は"The Bee Gees: How Can You Mend a Broken Heart"で、直訳すると「ビージーズ:どう傷ついた心を回復させたか」か

b962401fe751e393MEN 同じ顔の男たち(100分・英・米・2022) ⇒グロテスクで怖い作品を観たい方は是非観てほしい 最初はただの男女の諍いだと思っていたら急転回 ヒロインが癒しのために訪れたカントリーサイドで恐怖の体験を 筆者にはよく分からなかったが、田舎で登場する数人の男たちは一人多役で皆同じ顔をしているらしい 終盤の身勝手な男の再生産のようなシーンは特にグロテスク 全裸の男のイチモツはかなり大きくしてあるようだ 監督と脚本はアレックス・ガーランド(1970~・ロンドン出身) 彼は「ザ・ビーチ」(119分・米・英・2000)の原作小説の著者であり、SFスリラー作品「エクス・マキナ」(108分・英・2015)の監督・脚本を兼ねた 一筋縄ではいかない作品を製作することで知られている ヒロイン役はジェシー・バックリー(1989~・アイルランド・キラーニー出身)が務め、難しい一人多役はロニー・キニア(1978~・ロンドン出身)が熱演 撮影は2021年3月~5月に英国グロスターシャー州ウィジントンにて行られた模様 ロケに使われたカントリーハウス、広い農場、教会などがあるようだ 原題は単に"Men"=「男たち」

e84feffbf0b41298夜、鳥たちが啼く(115分・日・2022) ⇒北海道函館市出身の小説家・佐藤泰志(1949~1990)の同名原作短編小説(1991)の映画化 彼は函館西高校時代から優れた文芸作品を書いており、その後5度も芥川賞候補になったが果たせず 1990年に東京・国分寺市で自死したこともあって、悲劇的な小説家として知られる 一時すべての作品が絶版になっていたが、近年再評価の上再刊されまた本作も含めて6作品が映画化 筆者はそのうち本作を含めて4本の劇場映画作品を観た いずれも身近な出来事を描いており、仕事、人間関係、男女関係などに関する様々な悩みや問題を抱える人物たちが登場 彼らのやり場のなさ、行き場のなさが身につまされる 本作の監督は城定秀夫(じょうじょうひでお:1975~・東京都八王子市出身) 主演は、いずれも出演作の多い山田裕貴(1990~・名古屋市出身)と松本まりか(1984~・東京都出身) 撮影は恐らく2021年のまだ暖かい時季に埼玉県飯能市、東京都杉並区・足立区、神奈川県三浦市などで行われた模様 どうでもいいことかもしれないが、作品内でビールを飲むシーンが結構ある その銘柄はどうもモルツらしいので、サントリーのプロダクト・プレイスメントがあったのかもしれない

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2022年12月18日 (日)

11月に観た劇場映画

11月には4本の劇場映画を観た 過去2~3年間に製作された作品が一気に上映されているようだ アップが遅くなったので、簡潔なコメントに徹した

LAMB/ラム(106分・アイスランド・スウェーデン・ポーランド・2021)
恋人はアンバー(92分・アイルランド・2020)
窓辺にて(143分・日・2022)
ザリガニの鳴くところ(125分・米・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

e4519fd556d5e2b0LAMB/ラム(106分・アイスランド・スウェーデン・ポーランド・2021) ⇒ホラー・ファンタジーかダーク・ファンタジーとでも呼ぶような作品だろうか アイスランドの人里離れた田舎の荒涼たる風景は印象的で象徴的 しかも一日中陽が落ちない夏の白夜 その中で起きる人知を超えた、神のみぞ知る出来事を描く 主演は「ミレニアム」3部作(スウェーデン・デンマーク・独・2009)で著名になったノオミ・ラパス(1979~・スウェーデン出身)で、製作総指揮も兼ねる 原題は英語では邦題どおり"Lamb"だが、アイスランド語では"Dýrið"="The animal"=「かの動物」か

12444bad521dce74恋人はアンバー(92分・アイルランド・2020) ⇒1995年のアイルランドの片田舎が舞台 本作の背景を理解するためには、アイルランドがかなり厳格なカトリック教国であることを知らなければならないと思う 1993年に同性愛が違法ではなくなったが、離婚が認められるのは1997年のことだったらしい したがって、まだ世の中には同性愛者を嫌い、揶揄する雰囲気が充満している その中でともに同性愛指向であり、生きずらさを感じているエディとアンバーがかりそめの恋人同士を演じるという青春コメディ 徐々に2人は真の友情を育みそれぞれ自己肯定へ 監督・脚本はアイルランド出身だがロンドンで活躍するディヴィッド・フレイン 「CURED キュアード」(95分・アイルランド・仏・2017)で知られいるが、この作品は日本公開がパンデミック中の2020年だったため見逃している ロケ地は監督の出身地である、アイルランドのギルデアだった模様 首都ダブリンの40kmほど西方のようだ 原題は"Dating Amber"で直訳すると「アンバーとデート・お付合い中」か

8e4366baefcc5e89窓辺にて(143分・日・2022) ⇒今泉力哉監督(1981~・福島県郡山市出身)が稲垣吾郎(1973~・東京都板橋区出身)を主演に迎えて、自身によるオリジナル脚本で製作した作品 2人ともに17本目の作品らしい 今泉監督はいろいろな愛の形を描いてきたが、今回は妻の不倫にも動じない男を描く 彼が周囲の人物から影響を受けながらも、逆に幸せな影響を与えていく様子は一種の救いかもしれない すべての伏線は最後のシーンに収斂していくようにも思える 今泉監督の作品は「愛がなんだ」(123分・日・2019)と「アイネクライネナハトムジーク」(119分・日・2019)を観た記憶がある その後コロナ・パンデミックの間にも7本の作品を製作するなど、映画製作に没頭している雰囲気がある 今回も東京・新宿三丁目の靖国通りに面した映画館で、通りに面した出口に最後まで陣取っていた生真面目さに驚いた 撮影は2021年夏に東京都・大森・新宿・狛江市・下北沢・幡ヶ谷そして神奈川県・ローズホテル横浜・相模原市・秦野市・藤沢市・川崎市と、東京・神奈川の各地で行われた模様

8d3eda264c018537ザリガニの鳴くところ(125分・米・2022) ⇒純粋なクライム・サスペンス作品かと思ったら、DV、育児放棄、格差・差別、青春恋愛、男の放蕩、陪審員刑事裁判、湿地帯生物の観察、環境保護などなどとても盛り沢山な内容 冒頭に「マーシュ(marsh:湿地)はスワンプ(swamp:沼地)とは違う」というメッセージが 米国ノース・カロナイナ州のバークリー・コーブという架空の場所(湿地帯)で1950~1960年代に起きた出来事として描かれる 実際の撮影は米国ルイジアナ州ニュー・オーリンズとホーマにて2021年4~6月に行われたようだ 筆者は結構新鮮で感動的な作品だと感じた しかしながら、動物学者でもあるディーリア・オーウェンズ(1949~・米ジョージア州出身)の同名原作小説(米・2018、邦訳:2020)が余りにも素晴らしいものらしいので、本作はそれを充分に再現していないとしてやや辛めの評価もあるようだ この小説は米国でベストセラーになり、日本でも2021年本屋大賞・翻訳小説部門第1位となったとのこと 原作小説を読んでみなくてはなるまい 原題は"Where the Crawdads Sing"で邦題どおり ザリガニは英語では通常"crayfish"か"crawfish"(米南部方言)らしいが、本作では"the Crawdads"と表現されている 定冠詞が付いてしかも先頭が大文字の複数名詞なので、これは世の中に住む人間の男たちを表現しているのかもしれない ザリガニがどう鳴くのかは分からない

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