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2023年2月の2件の記事

2023年2月24日 (金)

1月下旬に観た劇場映画

1月下旬には4本の劇場映画を観た それぞれ特徴のある作品だった

とべない風船(100分・日・2022)
ヒトラーのための虐殺会議(112分・独・2022)
エンドロールのつづき(112分・印・仏・2021)
BAD CITY(117分・日・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

3a6ed4dfb923e54dとべない風船(100分・日・2022) ⇒宮川博至(ひろゆき:1980~・広島県出身)監督が脚本も兼ねて製作した長編作品第一号 地元広島県で2018年7月に発生した西日本豪雨による土砂災害をテーマとしている 広島県内で100人を超える死者・行方不明者が発生したにもかかわらず、映像作品としては余り取り上げられていないことに気付いたそうだ 東出昌大(1988~・埼玉県出身)が主演し、ヒロインに三浦透子(1996~・北海道札幌市出身) 妻子を失う被害を受けてもそこで生き続けるしかない漁師、教師という天職に疲弊して父親が移住した瀬戸内の島に一時帰る娘、この2人を軸として物語は展開 淡々として話は進むが味わいのある作品 また瀬戸内の多島美も見物 東出は私生活のトラブルから再起しつつあるようにも思えた 不思議なことに筆者には三浦は最初から小池栄子(1980~・東京都世田谷区出身)にしか見えなかった 2022年7月に広島市で試写会が行われたことから、撮影は2021年後半に行われたものではないか オール広島県ロケで、呉市下蒲刈島・江田島市・倉橋島などで撮影されたようだ

c01392ce1fe8d038ヒトラーのための虐殺会議(112分・独・2022) ⇒まず何のためにナチスの高官15人が集まってこんな会議を午後延々と行ったのかと感じた どうせ人命にも人権にも無頓着な独裁者アドルフ・ヒトラー(1889~1945・オーストリア・ハンガリー帝国:現墺オーバーエスターライヒ州出身)が決めたことを実行するのだから、側近数人で決めればいいのではないかと思った 独裁専制主義の国家ではあるが民主主義から始まっているので、形式的でもどうしても会議を開いて合議制で物事を決めたかったのかな… ソ連崩壊後のロシアも基本的に民主主義の国家としてスタートしているので、現在の政治は全くの専制主義ではあるがよく大人数の会議や集会をアリバイのように実施しているように見える 本作は1942年1月20日午後ドイツ・ベルリンの郊外にあるヴァンゼー湖畔にある高級別荘で「ユダヤ人問題の最終的解決」について討議した会議の映画化 アドルフ・アイヒマン(1906~1962・独ゾーリンゲン出身)が秘書1名とともに参加しており、彼の残した議事録が1947年に米軍が独外務省の文書中から発見 したがって、本作ではこの議事録に基づき会議の進行模様が忠実に再現されているようだ ただ会議で高官たちが発言する様子を描いた映像なのでやや退屈かもしれない ドイツではTV映画として製作されたが、日本では劇場映画として上映された模様 原題は"Die Wannseekonferenz"="The Wannsee Conference"=「ヴァンゼー会議」 日本ではこの会議のことは余り知られていないので邦題は意訳として適当か

c5a59b69d1c516caエンドロールのつづき(112分・印・仏・2021) ⇒インド発だが、落ち着いた映画愛にあふれる作品 「ニュー・シネマ・パラダイス」(155分・伊・1988)を髣髴とさせる 最近の邦画作品では「今夜、ロマンス劇場で」(109分・日・2018)をどうしても思い出してしまう この作品の主題歌・シェネル(1983~・マレーシア・コタキナバル生まれ・豪出身)の「奇跡」(2017)を一所懸命に練習してカラオケで唄えるようになったことが懐かしい 本作に戻ると、列車駅でチャイ売りを生業とする父親を手伝う少年がふと入場した映画館で映画に魅せられるところから話は急転回 35mmフィルム映画作品の映写機技師と仲良くなり、少年の母親が作る弁当と交換にいつも映画作品を観られるように その後駅の倉庫に保管してある映画フィルムを発見し、自転車などを改造して自作した映写機でゲリラ自主上映 本作を脚本から製作したパン・ナリン監督(印グジャラート州出身)自身の少年時代の実話というから、監督自身本当に映画愛にあふれた、行動的な人物だと思う フィナーレは刺激的で、映画がフィルム上映からデジタル上映に変遷し、映写技師は失業し、映写機とフィルムはそれぞれ無用の長物となりリサイクルに回される 撮影は監督の出身地インドのグジャラート州で行われた模様 原題は"Chhello Sho"(グジャラート語)="The Last Show"=「最後のショー」 原題もピンとこないが、邦題もやや分かりにくい

e77e44f55237a0b6BAD CITY(117分・日・2022) ⇒「顔面凶器」や「Vシネマの帝王」という称号を持つらしい小沢仁志(1962~・東京都中野区出身)が還暦記念として脚本・製作総指揮・主演を兼ねて製作したヴァイオレンス・アクション作品 本作アクションはかなり見応えがあったと思う 小沢は本作撮影のために徹底したトレーニングを行ったとのことで、100人以上を相手にした乱闘アクションをスタントなしCGなしでこなしているそうだ 終盤のクライマックス・シーンではアクション俳優の山口祥行(よしゆき:1971~・東京都出身)とのタイマン死闘を披露 監督はスタントもやりアクション・コーディネーターでもある園村健介(1981~) 加藤雅也(1963~・奈良市出身)、かたせ梨乃(1957~・東京都豊島区出身)、リリー・フランキー(1963~・福岡県北九州市小倉区出身)などのベテラン俳優陣が作品に落着きを与えている 撮影は2021年11月頃に福岡県中間市などで行われたようだ ロケ地は7割が福岡県内でその半分が中間市だったという 中間市長は元アクション俳優であった福田健次(芸名・福田浩:1960~・石川県小松市出身)氏で本作撮影を全面サポートした模様

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2023年2月12日 (日)

1月中旬に観た劇場映画

1月中旬には4本の劇場映画を観た 劇場映画のコメント書きも少々サボってしまった

嘘八百 なにわ夢の陣(112分・日・2023)
映画 イチケイのカラス(119分・日・2023)
SHE SAID シー・セッド その名を暴け(129分・米・2022)
そばかす(104分・日・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

cf16c15eca3a03c2嘘八百 なにわ夢の陣(112分・日・2023) ⇒行事の合間を縫って鑑賞 他にチョイスがほぼなかったが、それなりに楽しめる作品だった 大阪テイストなので関東人には若干しっくりこないかも 「嘘八百」シリーズ(2018・2020)の3作目 いずれも監督が武正晴(1967~・愛知県知多市出身)で脚本が今井雅子(1970~・大阪府堺市出身)と足立紳(1972~・鳥取県倉吉市出身)、そして主演が中井貴一(1961~・東京都世田谷区出身)と佐々木蔵之介(1968~・京都市出身) 古物商と陶芸家が組んで掘出し物を偽造するというメインラインは変わらず 撮影は2022年6・7月の猛暑の時期に行われたようだ ロケ地は大阪府堺市・大阪市・狭山市などか 狭山池博物館(狭山市)が終盤の重要場面で使われている

2d897c78feb60700映画 イチケイのカラス(119分・日・2023) ⇒浅見理都(りと:1990~・埼玉県出身)の同名連載漫画(2018~2019)が原作 全11話のTVドラマ(2021)が人気となり、本作劇場版も製作された 竹野内豊(1971~・埼玉県所沢市出身)と黒木華(はる:1990~・大阪府高槻市出身)がTVドラマで初共演し、そのまま劇場映画でも継続 本作でも竹野内は相変らず型破りな裁判官を好演 黒木は今回は弁護士役 今回の話は最近流行りのみんな犯人的な感じ 脚本はTVドラマから一貫して浜田秀哉(1972~・香川県出身)が担当 監督はTVドラマでも3回演出を担当した田中亮(あきら:1979~) 撮影は2022年7月~8月の真夏に行われたようだ 作中の舞台は岡山県としているが、ロケ地は首都圏一円だったようだ 群馬県前橋市・高崎市、神奈川県横須賀市・寒川町、千葉県市原市・館山市、静岡県沼津市、山梨県甲府市などの地名があがっている

4ab4d0b180c6c795SHE SAID シー・セッド その名を暴け(129分・米・2022) ⇒ジョディ・カンター(1975~・米ニューヨーク市出身)とミーガン・トゥーイー(生年不詳・米イリノイ州エヴァンストン出身)の共著のノンフィクション"She Said: Breaking the Sexual Harassment Story That Helped Ignite a Movement"(米・2019)=「彼女は語った:運動に火を付けたセクハラ騒動の開幕」を映画化 本書の邦訳は「その名を暴け-#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘いー」(2020)として出版されている この2人のジャーナリストはニューヨーク・タイムズ紙の記者で、事の発端は2人が2017年10月5日にハーヴェイ・ワインスタイン(1952~・ニューヨーク市出身) によるにセクハラ(性的暴行)に関する調査報道暴露記事をニューヨーク・タイムズ紙に掲載したこと ワインスタインは辣腕映画プロデューサーで、「パルプ・フィクション」(154分・米・1994)「イングリシュ・ペイシェント」(162分・米・1996)「恋におちたシェイクスピア」(137分・米・英・1998)「英国王のスピーチ」(118分・英・豪・米・2010)「アーティスト」(100分・仏・米・2011)などの名作を次々と世に出した 本作ではトランプ前米国大統領(1946~・ニューヨーク市出身)のセクハラ疑惑も紹介しているが、いずれも男側が大金を払って口封じ・もみ消しを図ったのではないかという疑惑だった ワインスタインのセクハラ事件もみ消しについては多数の人物から証言を得て調査内容を固めるが、特に女優アシュレイ・ジャッド(1968~・米ロサンゼルス出身)の全面的な証言が鍵だった 本作ではカンター役をゾーイ・カザン(1983~・ロサンゼルス出身)が、トゥーイー役をキャリー・マリガン(1985~・英ロンドン出身)が演じた またジャッド本人も出演している 監督はマリア・シュラーダー(1965~・独ハノーファー出身)で、製作総指揮にブラッド・ピット(1963~・米オクラホマ州出身)が名を連ねる 撮影時期は2021年と思われるが、幸運なことにニューヨーク市にあるニューヨーク・タイムズ本社ビル内でロケ撮影できたようだ コロナ禍のためリモート・ワーク最盛期で、オフィスにはほとんど社員が出勤していなかったためらしい その他ロサンゼルス、米カリフォルニア州シリコン・バレー、ロンドン、英コーンウォール、伊ヴェネツィアなどでも撮影が行われたか ちなみにワインスタインは82人から告訴され、2020年6月にニューヨークの裁判所から禁固23年の刑を言い渡された 原題も"She Said"

71914af320fe4b26そばかす(104分・日・2022) ⇒アセクシャルの女性を主人公にした作品らしい アセクシャルとは他者に対して恋愛感情も性的欲求もない人とのこと エイセクシャルともいうようだ 筆者はアセクシャルのことを余り知らなかったので、こんな人もいるかもなと思って観ていたが、れっきとした性的指向の一つで研究では1%弱いるとのこと 監督は玉田真也(1986~・石川県金沢市出身)で劇作家・脚本家・演出家・俳優でもあるようだ ヒロインを三浦透子(1996~・北海道札幌市出身)が演じる 三浦は長編映画作品単独初主演らしい 三浦は「ドライブ・マイ・カー」(179分・日・2021)への出演で一気に注目を集めた しかし6歳から子役を演じており、また歌手としても実力派であることは知らなかった 終盤に前田敦子(1991~・千葉県市川市出身)が演じる中学の同級生の結婚披露宴で、三浦がチェロを演奏するが本当に弾いているように感じたがどうか タイトルの「そばかす」はヒロインの名前「蘇畑佳純(そばたかすみ)」からきているらしい 撮影は2022年前半に行われたものと想定 ロケ地は埼玉県さいたま市、東京都多摩地区西部などのようだ

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