1月下旬に観た劇場映画
1月下旬には4本の劇場映画を観た それぞれ特徴のある作品だった
・とべない風船(100分・日・2022)
・ヒトラーのための虐殺会議(112分・独・2022)
・エンドロールのつづき(112分・印・仏・2021)
・BAD CITY(117分・日・2022)
(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品
・とべない風船(100分・日・2022) ⇒宮川博至(ひろゆき:1980~・広島県出身)監督が脚本も兼ねて製作した長編作品第一号 地元広島県で2018年7月に発生した西日本豪雨による土砂災害をテーマとしている 広島県内で100人を超える死者・行方不明者が発生したにもかかわらず、映像作品としては余り取り上げられていないことに気付いたそうだ 東出昌大(1988~・埼玉県出身)が主演し、ヒロインに三浦透子(1996~・北海道札幌市出身) 妻子を失う被害を受けてもそこで生き続けるしかない漁師、教師という天職に疲弊して父親が移住した瀬戸内の島に一時帰る娘、この2人を軸として物語は展開 淡々として話は進むが味わいのある作品 また瀬戸内の多島美も見物 東出は私生活のトラブルから再起しつつあるようにも思えた 不思議なことに筆者には三浦は最初から小池栄子(1980~・東京都世田谷区出身)にしか見えなかった 2022年7月に広島市で試写会が行われたことから、撮影は2021年後半に行われたものではないか オール広島県ロケで、呉市下蒲刈島・江田島市・倉橋島などで撮影されたようだ
・ヒトラーのための虐殺会議(112分・独・2022) ⇒まず何のためにナチスの高官15人が集まってこんな会議を午後延々と行ったのかと感じた どうせ人命にも人権にも無頓着な独裁者アドルフ・ヒトラー(1889~1945・オーストリア・ハンガリー帝国:現墺オーバーエスターライヒ州出身)が決めたことを実行するのだから、側近数人で決めればいいのではないかと思った 独裁専制主義の国家ではあるが民主主義から始まっているので、形式的でもどうしても会議を開いて合議制で物事を決めたかったのかな… ソ連崩壊後のロシアも基本的に民主主義の国家としてスタートしているので、現在の政治は全くの専制主義ではあるがよく大人数の会議や集会をアリバイのように実施しているように見える 本作は1942年1月20日午後ドイツ・ベルリンの郊外にあるヴァンゼー湖畔にある高級別荘で「ユダヤ人問題の最終的解決」について討議した会議の映画化 アドルフ・アイヒマン(1906~1962・独ゾーリンゲン出身)が秘書1名とともに参加しており、彼の残した議事録が1947年に米軍が独外務省の文書中から発見 したがって、本作ではこの議事録に基づき会議の進行模様が忠実に再現されているようだ ただ会議で高官たちが発言する様子を描いた映像なのでやや退屈かもしれない ドイツではTV映画として製作されたが、日本では劇場映画として上映された模様 原題は"Die Wannseekonferenz"="The Wannsee Conference"=「ヴァンゼー会議」 日本ではこの会議のことは余り知られていないので邦題は意訳として適当か
・エンドロールのつづき(112分・印・仏・2021) ⇒インド発だが、落ち着いた映画愛にあふれる作品 「ニュー・シネマ・パラダイス」(155分・伊・1988)を髣髴とさせる 最近の邦画作品では「今夜、ロマンス劇場で」(109分・日・2018)をどうしても思い出してしまう この作品の主題歌・シェネル(1983~・マレーシア・コタキナバル生まれ・豪出身)の「奇跡」(2017)を一所懸命に練習してカラオケで唄えるようになったことが懐かしい 本作に戻ると、列車駅でチャイ売りを生業とする父親を手伝う少年がふと入場した映画館で映画に魅せられるところから話は急転回 35mmフィルム映画作品の映写機技師と仲良くなり、少年の母親が作る弁当と交換にいつも映画作品を観られるように その後駅の倉庫に保管してある映画フィルムを発見し、自転車などを改造して自作した映写機でゲリラ自主上映 本作を脚本から製作したパン・ナリン監督(印グジャラート州出身)自身の少年時代の実話というから、監督自身本当に映画愛にあふれた、行動的な人物だと思う フィナーレは刺激的で、映画がフィルム上映からデジタル上映に変遷し、映写技師は失業し、映写機とフィルムはそれぞれ無用の長物となりリサイクルに回される 撮影は監督の出身地インドのグジャラート州で行われた模様 原題は"Chhello Sho"(グジャラート語)="The Last Show"=「最後のショー」 原題もピンとこないが、邦題もやや分かりにくい
・BAD CITY(117分・日・2022) ⇒「顔面凶器」や「Vシネマの帝王」という称号を持つらしい小沢仁志(1962~・東京都中野区出身)が還暦記念として脚本・製作総指揮・主演を兼ねて製作したヴァイオレンス・アクション作品 本作アクションはかなり見応えがあったと思う 小沢は本作撮影のために徹底したトレーニングを行ったとのことで、100人以上を相手にした乱闘アクションをスタントなしCGなしでこなしているそうだ 終盤のクライマックス・シーンではアクション俳優の山口祥行(よしゆき:1971~・東京都出身)とのタイマン死闘を披露 監督はスタントもやりアクション・コーディネーターでもある園村健介(1981~) 加藤雅也(1963~・奈良市出身)、かたせ梨乃(1957~・東京都豊島区出身)、リリー・フランキー(1963~・福岡県北九州市小倉区出身)などのベテラン俳優陣が作品に落着きを与えている 撮影は2021年11月頃に福岡県中間市などで行われたようだ ロケ地は7割が福岡県内でその半分が中間市だったという 中間市長は元アクション俳優であった福田健次(芸名・福田浩:1960~・石川県小松市出身)氏で本作撮影を全面サポートした模様
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