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2024年5月 3日 (金)

劇場映画「悪は存在しない」を観て

劇場映画「悪は存在しない」を観て

b3975cec500dfbfe★悪は存在しない(106分・日・2024)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

監督・脚本:濱口竜介(1978~・神奈川県川崎市出身)

主演:大美賀均(おおみかひとし:1988~・栃木県出身):安村巧

助演:西川玲(にしかわりょう:2014~・大阪府出身):安村花
小坂竜士(1985~・山口県出身):高橋啓介
渋谷采郁(しぶたにあやか:1991~・兵庫県出身):黛ゆう子

音楽:石橋英子(千葉県茂原市出身)

東京都心部での上映館が渋谷文化村1ヶ所だけだったので、鑑賞したのは旧渋谷東映 結構広い劇場だったが満席だった模様 満席の劇場体験は本当にかなり久々 これが続けば他の劇場での上映もあるかもしれない

鑑賞してからしばらくたつが、いまだ内容の理解が一定しない よく考えてみると結構不気味な作品でもあった 観客に物語展開に関する疑問を残し考えさせるという、濱口監督作品の特徴でもあると思う ユーモアもあるのだが、一筋縄ではいかぬという展開が欧州の映画関係者にも受けているのではないか

本作は2023年2~3月に主に長野県富士見町と原村でロケ撮影されたという 八ヶ岳高原などの自然の映像は美しく幻想的 神々しい甲斐駒ヶ岳(2967m)の雄姿も垣間観られた気がする 濱口監督は「ドライブ・マイ・カー」(179分・日・2021)でも音楽を担当した石橋英子のMV(ミュージック・ビデオ)製作のため、石橋の仕事場に近い現地に足を運んだらしい その映像も再利用し副次的に本作が出来上がったという

本作の主題は「自然対人間」という永遠で究極のテーマ 天然の水源により生活している地元住民とグランピング場施設開発により水源汚染を起こしかねない企業との対立である 本作では、まず地元の生活を描き、次に補助金も活用する開発企業との対話・対立に触れ、そして自然の中で人間が生きるという事実・意味を追及しているように思える 未踏の自然に一番先に入った人間が自然環境保護論主義者であり、次に来る人々は自然環境破壊者なのだろうか

主演の大美賀仁は監督の撮影スタッフであったが、監督に白羽の矢を立てられたそうだ 濱口監督は脚本の台詞をそのまま読むという本読み・リハーサルを大事にしているらしいが、大美賀はそのままに演じたという それが大自然の中で自給自足で生きている飾りのない人物を好演しているように思える

本作は第80回ヴェネツィア国際映画祭(2023)で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞している

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