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2022年6月21日 (火)

6月12日~6月18日の週に観た劇場映画

6月12日(日曜)~6月18日(土曜)の週は4本の劇場映画を観た 戦慄のドキュメンタリー作品が1本あった

・流浪の月(150分・日・2022)
・オフィサー・アンド・スパイ(131分・仏・伊・2019)
★ナワリヌイ(98分・米・2022)
・オードリー・ヘプバーン(100分・英・2020)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

d3d669d9d6beb4ad・流浪の月(150分・日・2022) ⇒凪良ゆう(なぎらゆう:滋賀県出身)の同名小説(2019)を李相日(リ・サンイル/りそうじつ:1974~・新潟県出身)監督が映画化 小説は第17回本屋大賞(2020)を受賞 李監督は在日朝鮮人3世で、「フラガール」(2006)「悪人」(2010)「怒り」(2016)などの作品でよく知られる 広瀬すず(1998~・静岡市出身)と松坂桃李(1988~・神奈川県茅ケ崎市出身)がダブル主演 とても特殊な環境で、問題を抱えながら生きてきた2人が出会い、社会的に理解されず不遇な人生に陥る 再会した後の2人の思考・精神の変遷が主なテーマと思えるが、やや理解不能な役柄を主演の2人はよくこなしている 撮影は昨年2021年8月~10月に行われ、ロケ地は長野県松本市・大町市、神奈川県平塚市、東京都大田区などのようだ

016170dbeae47e55・オフィサー・アンド・スパイ(131分・仏・伊・2019) ⇒著名だが話題の多いロマン・ポランスキー監督(1933~・パリ出身・仏とポーランドの二重国籍)が製作した歴史作品 1894年に仏軍内で発生した冤罪事件(ドレフュス事件)に基づいた、ロバート・ハリス(1957~・英ノッティンガム出身)の同名小説(An Officer and a Spy:2013)を原作としている 本作は第76回ヴェネツィア国際映画祭(2019)で審査員大賞(第2席)を受賞 主人公ジョルジュ・ピカール大佐をジャン・デジャルダン(1972~・仏パリ北方郊外出身)が、冤罪被害者アルフレド・ドレフュス大尉をルイ・ガレル(1983~・パリ出身)がそれぞれ演じている 本作でも丁寧に描写されているが、ホロコースト以前から欧州では反ユダヤ主義・ユダヤ人差別が歴然として存在しており、これがひいてはイスラエル建国のシオニズムにつながっているようだ 原題は"J'accusé"="I accuse"=「私は告発する」
ポランスキー監督の代表作は「戦場のピアニスト」(150分・仏・独・英・ポーランド・2002)であり、第55回カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞 米国で「ローズマリーの赤ちゃん」(136分・米・1968)製作後、1969年夏にロサンゼルスの自宅で夫人で女優のシャロン・テート(1943~1969・米テキサス州ダラス出身)がチャールズ・マンソン(1934~2017・米オハイオ州シンシナティ出身)のカルト集団のメンバーにより殺害された また1977年に起こした児童性的虐待事件により有罪となったが保釈後米国を脱出し、その後一度も戻っていない 一方主演のデジャルダンは「アーティスト」(100分・仏・2011)で第54回カンヌ国際映画祭(2011)男優賞と第84回アカデミー賞(2012)主演男優賞をダブル受賞している

eb572db24a312aef★ナワリヌイ(98分・米・2022) ⇒戦慄のドキュメンタリー作品だった 主人公はロシアの弁護士で政治活動家のアレクセイ・ナワリヌイ(1976~・モスクワ西方郊外出身) 彼の父方の出自は、現在ロシアが侵略しているウクライナらしい 2011年以降ロシアでは集会・デモなどの屋外での反体制活動が急速に規制されるなか、ナワリヌイはインターネット上でプーチン政権の腐敗を指摘・批判 若者を中心とした反体制派がら熱烈な支持を寄せられるカリスマとなった
本作の主題はもちろん2020年8月に発生したナワリヌイ暗殺未遂事件 地方政府の汚職を調査に行っていた西シベリアのトムスクからモスクワに帰る旅客機の中で毒殺されかかったのだ 旅客機は途中のオムスクで緊急着陸し、昏睡状態の彼は病院に収容された しかし、病院は警察とFSB(ロシア連邦保安庁)の職員だらけで妻ユリアなど家族たちも近付けなかった ユリアの強い希望でドイツの首都ベルリンの病院に移送され、一命をとりとめる その際にナワリヌイの血液からノビチョクが使われたという証拠が発見されたという
ノビチョクとはソ連・ロシアで開発された有機リン酸系神経剤の一種である ノビチョクとはロシア語で「新参者」という意味らしい また運搬を容易にするため比較的毒性の低い2つの物質を現地まで運び混合して使うようだ これをバイナリー兵器又は二種混合型化学兵器というらしい ノビチョクは数時間たつと使用した痕跡が消滅してしまうらしいので、オムスクの病院ではしばらく誰も近付けさせなかったことは証拠隠滅のためだったようだ それでもナワリヌイが助かったのはいくつかの幸運が重なったためだと想定される 一つはオムスクの病院で解毒剤を投与され人工呼吸器につながれたこと 解毒剤は多分サリンの解毒にも使われるアトロピンであろう もう一つは西側ベルリンの病院に移送されて最新の治療を施されたこと 解毒剤投与など適切な治療が行われれば、ノビチョクの痕跡は残るのかもしれない
本作のクライマックスはロシアが暗殺団を組織してナワリヌイを旅客機上で毒殺しようとして失敗したことを証明したくだり イギリスの調査報道機関ベリングキャット(2014~・主にWeb発信)の有能な調査員クリスト・クローゼフ(1969~・ブルガリア第2の都市プロブディフ出身)が全面的に協力 ベリングキャット(Bellingcat)の名称はイソップ寓話「ネズミの相談」(Belling the Cat)によるらしい 日本でも「猫の首に鈴をつける」という成句・慣用句になっている ベリングキャットは合法的に入手できる資料を調べて突き合わせる手法で調査・諜報活動を行う この手法はオープン・ソース・インテリジェンス(open-source intelligence)又はオープン・ソース・インベスティゲーション(open-source investigation)略してオシント(OSINT)と呼ばれる 2020年12月にナワリヌイはオシントにより判明した5人の暗殺団にドイツから偽装電話をかけ、そのうちの1人から毒殺作戦の詳細を告白させることに成功 ナワリヌイはこの事実を同月に公開するが、プーチンは記者会見でナワリヌイの名前を決して口に出さず「殺されるべき人間ならすでに殺されているはずだ」とうそぶき、事実上暗殺指示したことを認めた プーチン政権は今も昔も嘘ばかりで固めたものだということがよく分かる
本作の監督はドキュメンタリー製作を得意とする若いカナダ人のダニエル・ロアー(1993~・トロント出身) 原題も邦題と同じ"Navalny" 6月21日午後に放送された日本テレビ系の情報番組「ミヤネ屋」では本作について実に詳細に紹介 完全なネタバレを恐れず、物凄い宣伝となった

124c63d5fbd9cb18・オードリー・ヘプバーン(100分・英・2020) ⇒オードリー・ヘプバーンといえば誰もが知っている、ハリウッド黄金時代に大活躍した女優 1929年5月4日にベルギーのブリュッセルで生まれ、国籍は英国であり、1993年1月20日にスイスの自宅で虫垂癌のため63歳の若さで亡くなった 「ローマの休日」(118分・米・1953)で第26回アカデミー賞(1954)主演女優賞を獲得し、24歳の若さでハリウッド一流女優の仲間入り その後も「麗しのサブリナ」(113分・米・1954)、「ティファニーで朝食を」(115分・米・1961)などに主演し世界中の話題をさらった 本作は英国の映画監督・作家であるヘレナ・コーンが製作したオードリーの一生を扱ったドキュメンタリー作品 長男、孫娘、親しい友人らのインタビューを交えながら、昔の写真や映像を使ってオードリーの人生を描く 幼少期、第二次世界大戦中の悲劇、バレエの練習、映画・舞台への出演、2度の結婚生活と最後のパートナー、映画出演を止めて子育てに専念すること、そして1988年からのユニセフ親善大使としての大活躍まで次々と紹介される オードリーは170cmの長身で、胸も余り大きくない痩身だったので、ジバンシーが製作した映画用のドレスが良く似合い、当時のファッション・アイコンにもなった 原題は単にファースト・ネームの"Audrey"

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2022年6月12日 (日)

5月26日~6月6日に観た劇場映画

5月26日(木曜)~6月6日(月曜)は3本の劇場映画を観た オミクロンの流行がやや落ち着いてきたと思われたので、そろそろと劇場映画鑑賞に出かけた

・大河への道(112分・日・2022)
★トップガン マーヴェリック(131分・米・2022)
・死刑にいたる病(128分・日・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

6f5c94e09d09e0c1・大河への道(112分・日・2022) ⇒まずびっくりしたのは、本作を鑑賞した東京・有楽町の丸の内ピカデリー(松竹の劇場)の変貌ぶりだった 有楽町マリオンに入居しているのだが、1階にあった有人のチケット売り場が消滅 売り子の女性がいなくなった 9Fの劇場に行くと、場内がかなり改装されていた 座席前後の間隔が長くなり、縦の並びも交互にずれている 以前は前席の頭がよく邪魔になることがあったが少し解消されたようだ また最前列はリクライニング・シートになっており、割増料金なして仰向けに寝てスクリーンを観上げることができる 同じビルに入居していた東宝の映画劇場が東京ミッドタウン日比谷ビルに移動し、階段劇場を採用しとても鑑賞しやすくなったことと関係があるだろう 劇場のことばかり書いたが、本作は落語家立川志の輔(1954~・富山県射水市出身)の新作落語「大河への道-伊能忠敬物語-」を映画化したもの 主演は中井貴一(1961~・東京都世田谷区出身) 志の輔は千葉県香取市の伊能忠敬記念館をたまたま訪れた時に、忠敬の作った日本地図の正確さに驚き、その偉業をたたえるべき新作落語に挑戦し2011年に初演 それを聴いた中井が大いに感動し、映画化を熱望 かなりの時間を費やして本作完成に至ったらしい 2021年秋に撮影され、ロケ地は当然ながら香取市と東映太秦映画村(京都市右京区)が中心 伊能忠敬の養子婿先は佐原の造り酒屋 佐原は江戸時代に優良米と清水そして江戸への水運に恵まれ、小野川沿いの小江戸として繁栄 2006年に佐原市は隣接の3町と合併し香取市になった 筆者の姓が付いた川が存在するのでやや思い入れがあるので、合併後も水郷小江戸で著名な佐原市として残ってほしかったと感じるが…

bd695b3eb37bf83a★トップガン マーヴェリック(131分・米・2022) ⇒トム・クルーズ(1962~・米国NY州シラキュース出身)を一躍スターダムに押し上げた「トップガン」(110分・米・1986)の36年越しの続編 ウィズ・コロナ時代の本格化で、誰しもエンターテイメントに飢えていたためか劇場は完璧に満員御礼 トムはじめパイロット役の俳優は全員ジェット戦闘機に搭乗し操縦したらしい しかも6台のカメラを装着して撮影したことから、映像のリアルさは半端ないと思う 軍の厳しい訓練と規律、昔の因縁、ラブ・ロマンスなどを散りばめエンタメとして充分に楽しめる 今やドローンの時代になっており、戦闘機乗りは不要ではないかというテーゼは重要で微妙 前作では戦闘機パイロット希望者が増えたようだが、今回はそうはならなかったのではという話もある 軍志願者を増やしたいという思いで米軍は本作製作に全面協力している 2018年5月に米国加州サンディエゴで撮影が開始され、8月にはバージニア州にあるノーフォーク海軍基地の空母エイブラハム・リンカーンの飛行甲板で撮影 2019年2月にはサンディエゴにあるノースアイランド海軍航空基地の空母セオドア・ルーズベルトの甲板でも撮影 しあがって、撮影は2019年には終えていたようだが、コロナ禍の関係で公開までには3年間かかったようだ エンド・クレジットを観るとインドのアーティストがとても多数製作にかかわっており、彼らの作業がコロナ禍のために相当中断されたのかもしれない 最後に最近のハリウッドとチャイナとの関係を象徴しているかもしれない点を一つ トムが彼のガレージから革ジャンを着て川崎のバイク・ニンジャに乗って出発するシーン 少ししか観えないがジャケットの背中には明らかに米国と日本と台湾の国旗が チャイナ共産党は間違いなく反発すると想定されるので、ハリウッドはチャイナ市場を重要視しなくなったのかもしれない 言論の自由の方が大事だということかもしれない またトムは宗教団体サイエントロジー協会のナンバー2であり、この教会を歓迎している台湾(中華民国)を宗教弾圧を続けるチャイナ共産党に優先させたという説もある 原題も"Top Gun: Maverick"

2f7a9880063b9622・死刑にいたる病(128分・日・2022) ⇒櫛木理宇(くしきりう:1972~・新潟県出身)の同名長編サスペンス小説を、白石和彌監督(1974~・北海道旭川市出身)が映画化 阿部サダヲ(1970~・千葉県松戸市出演)と岡田健史(1999~・福岡市出身)がダブル主演 櫛木のことはほとんど知らないが、2012年以降多作の作家になっているようだ 「死刑にいたる病」(2017)は「チェインドッグ」(2015)を改題して文庫化したものらしい 白石監督は「彼女がその名を知らない鳥たち」(123分・2017)や「虎狼の血」(125分・2018)で知られる あらゆる役をカメレオン的に怪演する阿部に真面目な役柄の岡田が絡む 「抑圧された子供は自尊心がない」がテーマか 多数の青少年をリンチし殺害した殺人鬼の話なので、当然気持ちは悪い 車の1年点検の合間でなければ観なかったかもしれない ロケ地は栃木県宇都宮市、佐野市など

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