カテゴリー「映画(2022年)」の14件の記事

2023年1月18日 (水)

2022年12月後半に観た劇場映画

2022年12月後半には3本の劇場映画を観た 年をかなり越えてしまったが急いでキャッチ・アップ

月の満ち欠け(128分・日・2022)
ラーゲリより愛を込めて(133分・日・2022)
Dr.コトー診療所(134分・日・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

9ddd7cc37281f682月の満ち欠け(128分・日・2022) ⇒結構お涙頂戴の作品だった 女子の輪廻転生の話のためか、Snow Manの目黒蓮(1997~・東京都出身)が出演しているためか、劇場は若い人中心に女性たちで満員 かなり驚いた 直木賞を受賞した、佐藤正午(1955~・長崎県佐世保市出身)の同名原作小説(2017)の映画化 監督は廣木隆一(1954~・福島県郡山市出身)で、2022年11月~12月に「あちらにいる鬼」「母性」そして本作と3本もの話題作を公開 駆け出しの頃に自由にピンク映画を製作したことがキャリアに役立っているという 主演は大泉洋(1973~・北海道江別市出身)で、3代いる「るい」の初代を有村架純(1993~・兵庫県伊丹市出身)が演じる 目黒は有村の年下のボーイフレンド役 2代目の「るい」が誕生したとされる1980年はジョン・レノン(1940~1980・英国リヴァプール出身)が亡くなった年であり、その年に発表された彼の楽曲「ウーマン」が効果的に使われている 本作中では東京・新宿区の高田馬場駅周辺が話の展開に重要な場所と設定されているが、さすがに現地ロケはできなかったようだ 茨城県筑西市に広大なセットを造り撮影し、背景は現在の風景と組み合わせたとのことらしい 高田馬場駅は筆者が通勤に使っていたところだが、映像は1980年代の雰囲気が出ていたと感じた その他ロケ地は東京・武蔵野市・新宿区・中央区・品川区・立川市・多摩市、千葉県・白子町・南房総市・野田市、さいたま市など首都圏各地 撮影は2021年11月~12月に行われたという

cca4dc42c495c918ラーゲリより愛を込めて(133分・日・2022) ⇒ロシアのウクライナ侵略を目の当たりにして本作を鑑賞すると、現代のソ連・ロシアが国際信義にも人間性にも欠け、いかに信用できない国であるかが理解できると思う もちろん戦前の日本も似たようなもので、自慢できるような国ではなかったことも当然である 国の性質が変わったと世界に知られるようになるまでには、とても長い年月がかかるであろう 本作は辺見じゅん(1939~2011・富山市出身)著のノンフィクション「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」(1989)の映画化 辺見は角川グループ創業者の角川源義(1917~1975)の長女 本作の主人公は山本幡男(1908~1954・島根県隠岐郡西ノ島町出身)でほぼ実話のようだ ロシア語に堪能だった山本は1945年にハルビン特務機関に配属されたが、日本が無条件降伏した後シベリアのスヴェルドロフスク(現エカテリンブルグ)収容所へ送られた 彼の従軍背景からなかなか帰国が許されず、ハバロフスク強制労働収容所で病を得て1954年に死去 しかし、彼はそこで俳句のアムール句会を立ち上げるなど文化活動を収容者の生きる糧にした 草野球の試合も企画 本作の監督はやはり昔ピンク映画を撮っていた瀬々敬久(ぜぜたかひさ、1960~・大分県豊後高田市出身)で、山本役を二宮和也(1983~・東京都葛飾区出身)が演じている 同僚収容者役に松坂桃李(1988~・神奈川県茅ケ崎市出身)、中島健人(1994~・東京都出身)、桐谷健太(1980~・大阪市北区出身)、安田顕(1973~・北海道室蘭市出身)など 山本夫人役の北川景子(1986~・神戸市出身)も熱演 1997年にTVドラマ化された時に山本を演じた寺尾聡(1947~・横浜市保土ヶ谷区出身)が本作でも山本の長男役として登場 撮影は2021年10月下旬~12月下旬 収容所のシーンの撮影は新潟県湯沢町の苗場スキー場の広大なセットで行われたようだ ハルビンで爆撃されるシーンは茨城県つくばみらい市にあるワープステーション江戸の大正時代を模したコーナーで撮影されたとのこと ここは現在は非公開になっているが、2020年3月までは公開されており筆者も一度訪れた その他茨城県の他所、群馬県、房総半島、北海道知床・オホーツク海などでもロケされたようだ 犬のクロがナホトカからの帰還船を追って来て、船上に引き上げられ一緒に日本に渡ったというのも実話らしい

2183b616b7a0b692Dr.コトー診療所(134分・日・2022) ⇒山田貴敏(1959~・岐阜市出身)の同名原作漫画(2000~2010)の映画化 2003年、2004年そして2006年に3度もTVドラマ化されている 本作も監督:中江攻(1963~・宮城県出身)、主演:吉岡秀隆(1970~・埼玉県蕨市出身)、共演:柴咲コウ(1981~・東京都豊島区出身)以下、TVドラマ以来のキャスト・スタッフがほぼ全員復帰して製作されたようだ 天皇・皇后両陛下と愛子さまも本作を劇場でご覧になったようだ 終映後に愛子さまから好意的なコメントがあったようだが、吉岡は緊張していたためか全く覚えていないという 本作のテーマ、離島や僻地で医療サービスをどう提供・維持するかは、現在も継続している課題だと思う 本作のように熱意と誠意だけでは解決しないと思うが… 筆者は本件TVドラマは全く観ていないが、中島みゆき(1952~・北海道札幌市生まれ・帯広市出身)の主題歌「銀の龍の背に乗って」(2003)は知っていた 今回改めて歌詞をよく読んでみると、本作のイメージを的確に表していると感じた 撮影は2022年6月~8月に行われたようだ 前半6月の3週間は日本最西の島・沖縄県与那国島(作中では志木那島とされている)でロケ撮影が敢行されたとのこと 与那国島には「Dr.コトー診療所」のセットがそのまま残されている 7月以降の後半は場所は不明だが、恐らく首都圏でスタジオ撮影が行われたと想定される

| | コメント (1)

2022年12月18日 (日)

11月に観た劇場映画

11月には4本の劇場映画を観た 過去2~3年間に製作された作品が一気に上映されているようだ アップが遅くなったので、簡潔なコメントに徹した

LAMB/ラム(106分・アイスランド・スウェーデン・ポーランド・2021)
恋人はアンバー(92分・アイルランド・2020)
窓辺にて(143分・日・2022)
ザリガニの鳴くところ(125分・米・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

e4519fd556d5e2b0LAMB/ラム(106分・アイスランド・スウェーデン・ポーランド・2021) ⇒ホラー・ファンタジーかダーク・ファンタジーとでも呼ぶような作品だろうか アイスランドの人里離れた田舎の荒涼たる風景は印象的で象徴的 しかも一日中陽が落ちない夏の白夜 その中で起きる人知を超えた、神のみぞ知る出来事を描く 主演は「ミレニアム」3部作(スウェーデン・デンマーク・独・2009)で著名になったノオミ・ラパス(1979~・スウェーデン出身)で、製作総指揮も兼ねる 原題は英語では邦題どおり"Lamb"だが、アイスランド語では"Dýrið"="The animal"=「かの動物」か

12444bad521dce74恋人はアンバー(92分・アイルランド・2020) ⇒1995年のアイルランドの片田舎が舞台 本作の背景を理解するためには、アイルランドがかなり厳格なカトリック教国であることを知らなければならないと思う 1993年に同性愛が違法ではなくなったが、離婚が認められるのは1997年のことだったらしい したがって、まだ世の中には同性愛者を嫌い、揶揄する雰囲気が充満している その中でともに同性愛指向であり、生きずらさを感じているエディとアンバーがかりそめの恋人同士を演じるという青春コメディ 徐々に2人は真の友情を育みそれぞれ自己肯定へ 監督・脚本はアイルランド出身だがロンドンで活躍するディヴィッド・フレイン 「CURED キュアード」(95分・アイルランド・仏・2017)で知られいるが、この作品は日本公開がパンデミック中の2020年だったため見逃している ロケ地は監督の出身地である、アイルランドのギルデアだった模様 首都ダブリンの40kmほど西方のようだ 原題は"Dating Amber"で直訳すると「アンバーとデート・お付合い中」か

8e4366baefcc5e89窓辺にて(143分・日・2022) ⇒今泉力哉監督(1981~・福島県郡山市出身)が稲垣吾郎(1973~・東京都板橋区出身)を主演に迎えて、自身によるオリジナル脚本で製作した作品 2人ともに17本目の作品らしい 今泉監督はいろいろな愛の形を描いてきたが、今回は妻の不倫にも動じない男を描く 彼が周囲の人物から影響を受けながらも、逆に幸せな影響を与えていく様子は一種の救いかもしれない すべての伏線は最後のシーンに収斂していくようにも思える 今泉監督の作品は「愛がなんだ」(123分・日・2019)と「アイネクライネナハトムジーク」(119分・日・2019)を観た記憶がある その後コロナ・パンデミックの間にも7本の作品を製作するなど、映画製作に没頭している雰囲気がある 今回も東京・新宿三丁目の靖国通りに面した映画館で、通りに面した出口に最後まで陣取っていた生真面目さに驚いた 撮影は2021年夏に東京都・大森・新宿・狛江市・下北沢・幡ヶ谷そして神奈川県・ローズホテル横浜・相模原市・秦野市・藤沢市・川崎市と、東京・神奈川の各地で行われた模様

8d3eda264c018537ザリガニの鳴くところ(125分・米・2022) ⇒純粋なクライム・サスペンス作品かと思ったら、DV、育児放棄、格差・差別、青春恋愛、男の放蕩、陪審員刑事裁判、湿地帯生物の観察、環境保護などなどとても盛り沢山な内容 冒頭に「マーシュ(marsh:湿地)はスワンプ(swamp:沼地)とは違う」というメッセージが 米国ノース・カロナイナ州のバークリー・コーブという架空の場所(湿地帯)で1950~1960年代に起きた出来事として描かれる 実際の撮影は米国ルイジアナ州ニュー・オーリンズとホーマにて2021年4~6月に行われたようだ 筆者は結構新鮮で感動的な作品だと感じた しかしながら、動物学者でもあるディーリア・オーウェンズ(1949~・米ジョージア州出身)の同名原作小説(米・2018、邦訳:2020)が余りにも素晴らしいものらしいので、本作はそれを充分に再現していないとしてやや辛めの評価もあるようだ この小説は米国でベストセラーになり、日本でも2021年本屋大賞・翻訳小説部門第1位となったとのこと 原作小説を読んでみなくてはなるまい 原題は"Where the Crawdads Sing"で邦題どおり ザリガニは英語では通常"crayfish"か"crawfish"(米南部方言)らしいが、本作では"the Crawdads"と表現されている 定冠詞が付いてしかも先頭が大文字の複数名詞なので、これは世の中に住む人間の男たちを表現しているのかもしれない ザリガニがどう鳴くのかは分からない

| | コメント (0)

2022年11月17日 (木)

10月下旬に観た劇場映画

10月下旬には3本の劇場映画を観た だんだん大作が登場してきたようだ

グッド・ナース(121分・米・2022)
★★RRR(179分・印・2022)
アムステルダム(134分・米・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

926b91d844763560グッド・ナース(121分・米・2022) ⇒米国のジャーナリスト・作家であるチャールズ・グレーバー(アイオワ州出身)の著書"The Good Nurse: A True Story of Medicine, Madness, and Murder"(米・2013)を映画化 この本のタイトルを直訳すると「良い看護師:医学、狂気、殺人の実話」という感じだろうが、邦訳本は出版されていないようだ これをベースに「1917 命をかけた伝令」(119分・英・米・2019)の共同脚本で知られるクリスティ・ウィルソン=ケアンズ(1987~・英グラスゴー出身)が先に脚本を作成 トビアス・リンドホルム監督(1977~・デンマーク出身)が 7年前にこの脚本を読み映画化する決断をした模様 本作はネットフリックスが製作 話はおどろおどろしいもので、海軍退役軍人のチャールズ・カレン(1960~・米国ニュージャージー州出身)が1986年に看護師になった後、2003年までにニュージャージー州とペンシルベニア州の病院で多数の入院患者を殺害したとされる 殺害方法は点滴液に糖尿病薬インスリンを注入する、あるいは心臓病薬ジゴキシンを注射するなどだったようだ 日本でも似たような事件があったように記憶している カレンは2002年からサマセット医療センターの集中治療室(ICU)で2人の娘のシングルマザーであるエイミー・ローレンと同僚に カレンは心臓病を隠しながら夜勤で働くローレンを助け、2人の娘とも親しくなる 2003年にローレンは警察に協力しカレンの逮捕・起訴につなげる カレンは29件の殺人を自白したが、16年間で400件以上の殺人を犯したものと推定されている 米国でも看護師不足の下、利益至上主義の病院が事件化を避け、すぐに疑わしき看護師を解雇するが、またその看護師が別院ですぐに採用されるという悪循環が指弾された 本作ではローレン役を「ゼロ・ダーク・サーティ」(157分・米・2012)のジェシカ・チャスティン(1977~・米加州サクラメント出身)が、カレン役を「博士と彼女のセオリー」(124分・英・2014)のエディ・レッドメイン(1982~・英ロンドン出身)がそれぞれ演じている 2人ともアカデミー主演俳優瘴の受賞者である 撮影は2021年4月から米国コネチカット州スタンフォードあたりで行われた模様 筆者は1987年から3年間余りこの近くに住んでいたので懐かしい 原題は"The Good Nurse"

8f9bc65432051aef★★RRR(179分・印・2022) ⇒またインドからとんでもない劇場映画作品が投入されたようだ 約3時間と長編だが、あれよあれよという間にストーリーがダイナミックに進行 英領インド帝国とニザーム王国(ハイデラバード王国)に対する抵抗運動・独立運動を指揮した2人の革命指導者A・シータラーマ・ラージュ(1897or1899~1924・印マドラス:現チェンナイ出身)とコムラム・ビーム(1901~1940・印ハイデラバード出身)を題材にしたファンタジー・フィクションとのこと 2人は実際に会うことはなかったようだが、本作では想像力を極限にまで働かせ、壮大な叙事詩的ミュージカル・アクション作品に仕立て上げている ヒンドゥー神話の2大叙事詩「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」の影響もあるという 監督・脚本は「バーフバリ 伝説誕生」(138分・印・2015)「バーフバリ 王の凱旋」(141分・印・2017)のS・S・ラージャマウリ(1973~・印ライチュール出身) 原案はやはり映画監督・脚本家である彼の父親が創っているそうだ 主役のビームとラーマ役にはインドの人気実力派俳優N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア(1983~・印ハイデラバード出身)とラーム・チャラン(1985~・印マドラス:現チェンナイ出身)をそれぞれ起用 作品タイトルはラージャマウリ、ラーマ・ラオ、ラームの3人のイニシャルから「RRR」と仮に名付けられたようだが、正式名になる時には、"Rise"(蜂起)"Roar"(咆哮)"Revolt"(反乱)のイニシャルと定めたとのこと 本作の使用言語であるテルグ語(印南東部の公用語)では「怒り」「戦争」「血」にもなっているようだ 本作の見所は満載だが、1人の警官対無数の抗議群衆の闘い、2人が超高速で同期して踊るナートゥ・ナートゥ・ダンス、王宮宮殿での多数の猛獣や動物と入り交じった戦闘などのシーンは見落とせない 観ていると何だかインドのイギリスに対する怨念を感じないでもない 撮影は2018年11月から2021年8月まで行われた スタジオ撮影はインド・ハイデラバードのアルミニウム工場内に建設したスタジオやラモジ・フィルム・シティ(ハイデラバードにあるスタジオ)で、またロケ撮影は各地の森、デリー、オランダ、ブルガリア、ウクライナなどで実施 2020年にはCOVID-19パンデミックの影響で撮影が長期中断 2020年末から撮影再開され、再中断をはさみながらも、2021年8月にウクライナのキーウ(現在ロシアとの戦争で話題集中)で最後にダンス・シーンが撮影された 結局撮影期間が2年9ヶ月という長期になったため、作品公開予定が当初の2020年7月から2022年3月まで延期された 撮影日数も300日以上になり、3,000人の技術スタッフと9人の共同監督が動員されたとのこと またアクション・シーンの撮影には75日間が費やされ40人の格闘家が撮影に参加したという インドの国内流通を容易にするためテルグ語に加えてタミル語、ヒンディー語、カンナダ語の吹替版も製作し、また高度なVFXも採用したためポスプロも大規模に したがって製作費は100億円近くに達した模様 原題も"RRR"

640アムステルダム(134分・米・2022) ⇒二つの世界大戦の間の1933年に、米国ではビジネス陰謀(Business Plot)と呼ばれる騒動があったようだ 裕福な実業家達が退役海兵隊少将スメドレー・バトラー(1881~1940・米ペンシルベニア州ウエスト・チェスター出身)を担いでファシスト退役軍人組織を作り、当時のフランクリン・D・ルーズベルト第32代米国大統領(在任:1933~1945・民主党、1882~1945・米NY州ハイド・パーク出身)を追い落とそうとしたという バトラーはFDR寄りだったためにこの陰謀は実行されず、彼は米国連邦議会下院の委員会で証言することになった 本作はこの実話を基に脚本を創り、第一次世界大戦(1914~1918)下のフランス戦線で出会った2人の米国兵士と1人の米国看護婦の友情と、25年後にニューヨークで陰謀に巻き込まれる3人を描く 「アメリカン・ハッスル」(138分・米・2013)などでアカデミー賞ノミネートの常連であるデヴィッド・O・ラッセル(1958~・米ニューヨーク出身)が本作の脚本と監督を兼任 生涯の友情を誓う3人に、クリスチャン・ベール(1974~・英ウェールズ出身)、マーゴット・ロビー(1990~・豪ゴールド・コースト出身)そしてジョン・デヴィッド・ワシントン(1984~・米ロサンゼルス出身)を起用 冒頭に大人気米国歌手のテイラー・スウィフト(1989~・ペンシルベニア州ウエスト・レディング出身)がチョイ役で出演 前述のバトラーと思われる役をロバート・デ・ニーロ(1943~・米ニューヨーク市出身)が演じている 友人3人の人物像がかなり突飛なもので、また本筋の陰謀との関係がやや分かりにくく、頭が混乱するかもしれない 個々のシーンは強めで印象的な演出もあって、ユニークで面白いと思う 主要撮影は2021年1月~3月に米国ロサンゼルスで行われたとのこと その後、COVID-19パンデミックの影響を受けながらもボストンでも撮影されたらしい 日本の劇場では高齢の観客が多かったようだが、米国でも若者受けしなかったためか今のところ赤字作品のようだ 原題も"Amsterdam"

| | コメント (0)

2022年10月26日 (水)

10月中旬に観た劇場映画

10月中旬には2本の劇場映画を観た いずれも話題の作品ではあった

七人の秘書 THE MOVIE(118分・日・2022)
ヘルドッグス(138分・日・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

845e64534360e1b5七人の秘書 THE MOVIE(118分・日・2022) ⇒2020年秋の同名TVドラマ(全8話)の劇場映画化 脚本はTVドラマ「Doctor-X 外科医・大門未知子」(2012~)の中園ミホ(1959~・東京都中野区出身)が引き続き担当 主演もTVドラマと同様に木村文乃(1987~・東京都出身) 彼女は「LOVE LIFE」(123分・日・2022)でも主演を務めた 本作では秘書たちが闘う相手がリゾート開発悪徳ファミリーという古典的な形態の敵だったのが残念 暗号通貨や資産、AI(人工知能)、メタバースなどの先端技術が入っていればもっとクールだったと感じた 撮影は恐らく2022年の新春~冬に行われたと思われる ロケ地は福島県耶麻郡猪苗代町、長野県下伊那郡平谷村にある高峰高原などか 猪苗代町で重要文化財に指定されている天鏡閣が悪徳ファミリーの本拠地として使われた模様 また岐阜県や愛知県との県境に近い中央アルプス(木曽山脈)の山中(高峰高原)で雪中の撮影が行われたか

f31105801ea44b7fヘルドッグス(138分・日・2022) ⇒深町秋生(1975~・山形県南陽市出身)の「ヘルドッグス 地獄の犬たち」(2017)が原作小説 「日本のいちばん長い日」(136分・日・2015)の原田眞人監督(1949~・静岡県沼津市出身)が脚本も併せて製作 原田監督は主演の潜入捜査官に「関ヶ原」(149分・日・2017)と「燃えよ剣」(148分・日・2021)でも組んだ岡田准一(1980~・大阪府枚方市出身)を起用 ヤクザでサイコパスのバディに坂口健太郎(1991~・東京都府中市出身)を充てた この2人の素早い連続アクション・シーンは見物 ヤクザの親分としてはMIYABI(1981~・兵庫県川辺郡猪名川町出身)や北村一輝(1969~・大阪市出身)を起用し、周辺人物として松岡茉優(1995~・東京都出身)や大竹しのぶ(1957~・東京都江戸川区出身)が登場 女殺し屋役を演じた元宝塚の中島亜梨沙(1982~・北海道札幌市出身)も派手なアクションを繰り広げた 撮影は2021年12月~2022年1月に滋賀県彦根市、大阪市、東京都、静岡県西伊豆町、福島県いわき市など行われた模様 アクション・シーンを引き立てる独特なロケーションの選定が秀逸 冒頭のシーンは伊豆堂ヶ島(西伊豆町)の閉鎖したらん園の廃墟のようだ 終盤の拷問部屋や銃撃アクション・シーンにはいわき市にある未完成のヘレナ国際ホテルが使われた ここはバブル期に計画されたが未完成のまま放置され、現在はヘレナ・リゾーツいわきの一部として、いわきフィルム・コミッションが撮影ロケ地として提供している また東京・武蔵野市の吉祥寺駅南口(公園口)を出てすぐにある吉祥寺オデオン(映画館・東亜会館)もロケ地として使われたらしい

| | コメント (0)

2022年10月22日 (土)

10月上旬に観た劇場映画

10月上旬には2本の劇場映画を観た 2作ともなかなか味わい深い作品だった

アイ・アム まきもと(104分・日・2022)
ダウントン・アビー 新たなる時代へ(125分・英・米・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

2603f667acddf75eアイ・アム まきもと(104分・日・2022) ⇒欧州の映画作品には時々登場するが、本作の主人公・牧本壮はイエス・キリストの弟子のような人物 基本的には喜劇なのだが底知れぬペーソスも漂い、いろいろ考えさせる作品 牧本は他人の嫌がる仕事に率先かつ徹底して取り組み、自費も使って面倒を見ようとする 彼の仕事は庄内市役所(架空の市)のおみおくり係であり、孤独死した人々を荼毘に付し納骨するのが仕事 普通ではないのは、死者の親類縁者をなるべく探し出し、彼らの参列を願いながらお葬式を自腹を切って行うところ 「フル・モンティ」(91分・英・米・1997)の製作で知られるウベルト・パゾリーニ(1957~・伊)が脚本・監督を兼ねて製作した「おみおくりの作法」(原題:Still Life・91分・英・伊・2013)のリメイク 「おみおくりの作法」の舞台はロンドンだが、本作は舞台を山形県の庄内地方に移し、ストーリーは原作をかなり忠実になぞっているように思う 主演は舞台・テレビ・映画で大活躍中の阿部サダヲ(1970~・千葉県松戸市出身) 監督は彼を「舞妓Haaaan!!!」(120分・日・2007)の主役に起用した水田伸生(1958~・広島市出身) 主人公のまわりに満島ひかり(1985~・鹿児島市生まれ・沖縄市出身)、松下洸平(1987~・東京都八王子市出身)、宮沢りえ(1973~・東京都練馬区出身)、國村隼(1955~・熊本県八代市生まれ・大阪市出身)らを配している 孤独死の老人役は宇崎竜童(1946~・京都市出身)で、一言も台詞のない役だったとラジオ蕃組で笑いながら語っている ロケ撮影は2021年5月~6月に山形県鶴岡市・酒田市・庄内町・山形市、新潟県村上市などで行われた模様 撮影は新型コロナ感染症のため1年程度延期されたようだ ちなみに牧本が暮らす団地は鶴岡市営大山住宅が、そして勤める市役所は酒田市役所がそれぞれ使われたらしい

e089381d928c4016ダウントン・アビー 新たなる時代へ(125分・英・米・2022) ⇒英国の俳優・脚本家・小説家・映画監督・政治家であるジュリアン・フェロウズ(1949~・エジプト・カイロ生まれ)は、2010年に英国の時代劇TVドラマ「ダウントン・アビー」の脚本を創作し製作 ドラマは2015年まで全6シーズン・52話まで製作され、米国や日本でもTV放送され人気を博した これを劇場映画化したのが1作目の「ダウントン・アビー」(122分・英・米・2019)で、本作がその2作目となる 1作目の時代設定はTVドラマ終了時点の1年半後の1927年で、2作目のそれはさらに1年後の1928年 1作目のストーリーは英国王ジョージ5世(1865~1936、在位:1910~1936)夫妻がヨークシャー行幸中に貴族の館ダウントン・アビーを訪れることを軸としている 2作目の本作は最年長の先代グランサム伯爵夫人が南仏リビエラの別荘を相続することと、館の修繕費がかさむところにハリウッドから館をロケ地に使いたいというオファーが来ることを軸に話が展開 当主夫妻などが南仏の別荘に向かうことになり、一方館は映画撮影でいろいろなハプニングが 時代はサイレント(無声)映画からトーキー(発声)映画に移行する時期で、途中からトーキー映画撮影に切り替わる 映画フリークの筆者としては、最初期のトーキー映画作品の撮影現場の様子が再現されていてとても興味深かった また移行時に多くの俳優らが言葉の発声や訛りに苦労したという歴史的事実にも思いをはせることができた 撮影は2021年4月~7月に主に英国ハンプシャーに実在するハイクレア・カースル(ハイクレア城)にて行われた模様 ハイクレア・カースルはダウントン・アビーそのものであり、実は見学・ツアーやイベント開催時に一般開放されているとのこと また本シリーズでは初めて海外ロケを行い、南仏まで出かけたようだ 原題は"Downton Abbey: A New Era"で邦題どおり

| | コメント (0)

2022年10月14日 (金)

9月24日~30日の週に観た劇場映画

9月24日(土曜)~30日(金曜)の週は、3本の劇場映画を観た 味のある作品が多かった

犬も食わねどチャーリーは笑う(117分・日・2022)
LOVE LIFE(123分・日・2022)
川っぺりムコリッタ(120分・日・2021)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

9646074f5f566d0e犬も食わねどチャーリーは笑う(117分・日・2022) ⇒「旦那デスノート」というインターネット・サイトが実在することは知らなかった パソコンやスマホでアクセスすると、セキュリティ・ソフトにより危険なサイト・Webページであると警告され、接続・表示しないようにすすめられる これは妻が夫に対する強烈な不満を書き込むサイト 鈍感な夫があるきっかけで妻の書込みに気付き、夫婦バトルあるあるにあふれたドタバタ喜劇が始まるというのが本作のストーリー 結婚4年目の夫婦役を香取慎吾(1977~・横浜市出身)と岸井ゆきの(1992~・神奈川県秦野市出身)が演じる 草彅剛(1974~・愛媛県西予市生まれ・埼玉県春日部市出身)が主演した「台風家族」(108分・日・2019)の市井昌秀監督(1976~・富山県射水市出身)が脚本も含めて製作 市井監督は当初お笑い芸人を目指して活動していたようだ 撮影は2021年9月下旬~10月下旬に、東京都立川市・新宿区、埼玉県さいたま市、千葉県我孫子市、角川大映スタジオ(東京都調布市)などで行われたようだ 具体的にはホテルや公園は立川市で、夫の職場(島忠ホームズ)はさいたま市宮原町で、ファミレスは我孫子市布佐(手賀沼フィルム・コミッション)で、妻の職場は新宿区西新宿でそれぞれロケ撮影されたと思われる

5a6fbb6d849b251fLOVE LIFE(123分・日・2022) ⇒深田晃司監督(1980~・東京都小金井市出身)が20年間愛した、シンガー・ソング・ライター矢野顕子(1955~・東京都生まれ・青森市出身)の楽曲「LOVE LIFE」(1991)を発想の源として脚本も兼ねて製作した作品 第79回ベネチア国際映画祭(2022年)コンペティション部門に出品できた 「どんなに離れていても愛することはできる」で始まる矢野の楽曲はジャズの即興曲風であり、ライブでは歌うたびに微妙に異なるという 深田監督は愛の形が相手、家族、時間、空間などでいかようにも変化すること、そして繰り返す度に移ろうことを本作で表現したかったのかもしれない 深田監督の作品としては、「淵に立つ」(119分・仏・日・2016)と「よこがお」(111分・日・仏・2019)も観たが、本作と同様に描写は緻密で精密だが筆者にはなかなか難解という印象だった 困っている人を絶対に見捨てられない人(キリスト)がいるというのは欧州の通奏低音かもしれない それが深田の作品がフランスなど欧州で受け入れられている理由ではないか ヒロインには「七人の秘書 THE MOVIE」(118分・日・2022)でも主役を務める木村文乃(1987~・東京都出身)を起用 相手役の現夫に永山絢斗(1989~・東京都板橋区出身)が、失踪した元夫にろう者の砂田アトム(1977~)がそれぞれ配されている 撮影は2021年後半に行われたと想定され、ロケ地は東京都八王子市、神奈川県伊勢原市、韓国釜山市近郊などのようだ 家族が住む住宅としては八王子市長房町の都営長房団地が、勤務する地方自治体の建物としては伊勢原市役所がそれぞれ使われた模様

116f9949562b7f3c川っぺりムコリッタ(120分・日・2021) ⇒「かもめ食堂」(102分・日・フィンランド・2006)の荻上直子監督(1972~・千葉県出身)が自身の同名原作小説(2019)を脚本も兼ねて映画化 ムコリッタ(牟呼栗多)とは仏教の時間の単位のひとつで、1/30日=48分を表す仏教用語とのこと 「友達でも家族でもない でも孤独ではない」というキャッチ・フレーズのとおり、人々の交流による日常のささやかな幸せを描いているようだ 主人公を松山ケンイチ(1985~・青森県むち市出身)が控えた演技で務めている その回りでムロツヨシ(1976~・横浜市出身)、満島ひかり(1985~・鹿児島市生まれ・沖縄市出身)、吉岡秀隆(1970~・埼玉県蕨市出身)などハイツ・ムコリッタに一緒に暮らす人々が話を盛り上げている 特に皆が強引に飛び入りして、すき焼き鍋を囲むシーンは面白い 葬列のラストシーンは故大林宜彦監督(1938~2020・広島県尾道市出身)の作品を思い起こさせた オフィシャル・サイトのプロダクション・ノートに詳しく撮影記録が掲載されているが、撮影は2020年9月8日(火曜)~9月30日(木曜)に富山県富山市、射水市、小矢部市、立山町、南砺市、魚津市、高岡市などで行われたようだ 主要ロケ地としては、ハイツ・ムコリッタが富山市馬瀬口にある市営住宅の殿様林団地(常願寺川沿い、現在は使われていない模様)、塩辛工場が富山市四方新の蛇米水産加工、市役所が魚津市役所、お寺が射水市の薬勝寺、橋沿いのゴミ溜まりが射水市の庄川にかかるあいの風とやま鉄道の鉄橋脇、ラストシーンの葬列が高岡市小矢部川の土手だったらしい

| | コメント (0)

2022年10月 8日 (土)

9月16日~23日の間に観た劇場映画

9月16日(金曜)~23日(金曜)の間には、4本の劇場映画を観ることができた B級作品的なものが多かったように思う アップが遅くなった

Zola ゾラ(86分・米・2021)
AKAI(88分・日・2022)
沈黙のパレード(130分・日・2022)
グッパイ・クルエル・ワールド(127分・日・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

885ae8070c202125Zola ゾラ(86分・米・2021) ⇒R18+(18歳以上指定)作品 2015年に実在の黒人女性アザイア・”ゾラ”・キングが自らの実体験をツイッターに投稿した148件のツイートが全米で話題になり、それをジャニクザ・ブラヴォー監督(米ニューヨーク市出身・黒人女性)が脚本も兼ね映画化 ゾラにテイラー・ペイジ(1990~・米加州サンタモニカ出身)が、共演のステファニにライリー・キーオ(1989~・米加州サンタモニカ出身)がそれぞれ起用されている ライリーはエルヴィス・プレスリー(1935~1977・米テネシー州メンフィス出身)の孫であり女流監督でもある 米国ミシガン州デトロイトに住むゾラは、昼はレストラン「フーターズ」で働き夜はポールダンサーとしてクラブ出演をしていた フーターズで出会ったステファニと一緒にポールダンスを踊ることで意気投合 翌日から一獲千金の目的で一緒に車でフロリダ州を目指す 一種のロード・ムービーでもある SNS時代の新たな生き方・商売の一端を描き全米でスマッシュ・ヒットしたらしい 黒人女性の立場の弱さ、強い男に強制される女性の立場、安い女性の性など、いろいろな問題を提示しているようにも思える 最後のフロリダ州キーウエストに向かう長く続く橋(国道US-1号線)の上を走るシーンは印象的で何かを暗示しているようだ 原題も"Zola"

d9fe77c1f0d201adAKAI(88分・日・2022) ⇒現在は俳優・タレントとして活躍する赤井英和(1959~・大阪市西成区出身)の自伝的ドキュメンタリー 最近は「アリさんマークの引越社」TV・CFでよく知られていると思うが、本作はプロボクサー時代に焦点を当てている 高校時代からアマチュア・ボクサーとして活躍していたが、1980年にモスクワ五輪への出場を断念した後鮮烈にプロデビュー 攻撃型ボクサーとして当時の日本記録であるデビュー以来12試合連続ノックアウト勝ちを達成し「浪速のロッキー」という愛称をもらった 1983年にWBC世界スーパー・ライト級タイトル・マッチでブルース・カリー(米国)に挑戦したがTKO負けを喫した 一時行方不明になるものの再起し、専属となった世界的ボクシング・トレーナーの“エディ”・エドワード・タウンゼント(1914~1988・米ハワイ州ホノルル出身)とトレーニングを積んだ 1985年大和田正晴(1961~・東京都練馬区出身)と世界前哨戦を戦うが、KO負けの後意識不明に陥る 急性硬膜下血腫、脳挫傷と診断され、大阪市内の富永病院で開頭手術 回復が危ぶまれたが、奇蹟的に回復 ドクター・ストップにより引退したが、戦績は21戦19勝(16KO)2敗 1987年に出版された赤井の自伝を基に坂本順治監督(1958~・大阪府堺市出身)が脚本も兼ねて製作した映画「どついたるねん」(110分・日・1989)で主演し、俳優・タレント活動を本格化 本作は赤井の実子でボクサーでもある赤井英五郎(1994~・東京出身)が監督・編集 ボクシングの試合、エディ・タウンゼントとのトレーニング・交流模様、開頭手術現場の様子など多くの記録的価値のありそうな映像が観られる

5252eb4674bfeca0沈黙のパレード(130分・日・2022) ⇒東野圭吾(1958~・大阪市生野区出身)の同名原作推理小説(2018)を映画化 ガリレオ・シリーズの小説としては9作目だが、劇場映画としては3作目 3作品とも監督は西谷弘(1962~・東京都出身)で、メイン・キャスト3人は福山雅治(1969~・長崎市出身)、北村一輝(1969~・大阪市出身)そして柴崎コウ(1981~・東京都豊島区出身) いつも思うが福山は存在が大事で、演技は北村が一人で背負っている感じ 犯人探しは難解だが、最近の傾向の「全員怪しい」「女性が怪しい」の風潮に乗っているいるような気がする 撮影は2021年4月~8月に行われた模様 商店街やパレードは撮影前半に主に静岡県牧之原市でロケ撮影されたようだ また音楽を指導する音楽家の住宅は鎌倉市で、のど自慢大会は茨城県境町の公園で終盤に撮影されたらしい

d8c8bdce6d1c196dグッパイ・クルエル・ワールド(127分・日・2022) ⇒私見では今や日本のタランティーノともいえる大森立嗣監督(1970~・東京都出身)が脚本の高田亮(1971~・東京都出身)と組んで制作したクライム・バイオレンス・エンタテイメント作品 とにかく激しく強烈で、容赦ない血みどろのシーンが連続するので、本作に対する好みはわかれるかもしれない 大森監督の父親は俳優・舞踏家・演出家の麿赤兒(1943~・金沢市出身) 大森監督が高田脚本と組んだのは「さよなら渓谷」(116分・日・2013)以来か 高田は「そこのみにて光輝く」(120分・日・2014)や「死刑にいたる病」(129分・日・2022)の脚本も担当している キャストはとにかく豪華で、主演の西島秀俊(1971~・東京都八王子市出身)を始めとして、斎藤工(1981~・東京都港区出身)、宮沢氷魚(1994~・米加州サンフランシスコ生まれ・東京都出身)、玉城ティナ(1997~・沖縄県浦添市出身)、宮川大輔(1972~・京都市生まれ・滋賀県大津市出身)、大森南朋(1972~・東京都出身・監督の実弟)、三浦友和(1952~・山梨県生まれ・東京都出身)、奥田瑛二(1950~・愛知県春日井市出身)、鶴見辰吾(1964~・東京都出身)などきりがない 元ヤクザ(西島)の元子分役を演じた奥野瑛太(1986~・北海道苫小牧市出身)の鬼気迫る怪演は見事 終盤若い2人(宮沢・玉城)が散弾銃を次々とぶっ放す様子は日本の元首相暗殺を思い起こさせる 最後には全員死んでしまうようなのは何かの鎮魂か 撮影は2021年5月~6月に静岡県伊東市、千葉県木更津市、山梨県甲府市などで行われたようだ

| | コメント (0)

2022年9月19日 (月)

9月前半に観た劇場映画

9月前半は少しペースが上がって、3本の劇場映画を観ることができた まだまだ秀作は少ないか

ブレット・トレイン(126分・米・日・西・2022)
ジュラシック・ワールド 新たなる支配者(147分・米・2022)
地下室の変な穴(74分・仏・ベルギー・2021)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

1bd38f6baf9c75e7ブレット・トレイン(126分・米・日・西・2022) ⇒原作は日本の小説家・伊坂幸太郎(1971~・千葉県松戸市出身)の「マリアビートル」(2010) 伊坂の小説は日本で数多く映画化されているが、本作は米国ハリウッドで製作された 監督は「デッドプール2」(120分・米2018)のデヴィッド・リーチ(1975~・米ウィスコンシン州出身)で、主演は大物俳優のブラッド・ピット(1963~・米オクラホマ州出身) 原作小説の登場人物はすべて日本人だが、本作では米国人、日本人、中国人、ロシア人などと多国籍化 アクション・コメディ・スリラー作品としてB級感溢れる映像を楽しむにはもってこい リーチ監督自身が元スタントマンだけあって、狭い列車の中を縦横無尽に使ったアクションは見物 撮影は2020年10~11月に行われた模様 新型コロナウイルスによる渡航制限などのため、残念ながら日本でのロケ撮影はなかったようだ ロサンゼルス市内でのロケ撮影、日本で撮影された映像などを使ったソニー・ピクチャーズ・スタジオ(米CA州ロサンゼルス郡カルバー・シティ)のセットでの撮影などを駆使 エンド・クレジットにはスタントマンが数10人、VFX担当として200~300人の名前が列挙されていた 原題も"Bullet Train"=「新幹線、弾丸列車」 昔日本の漫画では弾丸のことをビュレットなどと書いてあるものがあって、米国でそう発音したら「ブレット」だと修正された記憶がある 「ビュレット」は"burette"であって、化学分析の際に滴下した液の容量を秤量するための実験器具のことらしい

f9aa3298ca44d751ジュラシック・ワールド 新たなる支配者(147分・米・2022) ⇒日本公開からかなり時間が経ったが、やはり観ておかなければと思った 本作は「ジュラシック・パーク」「ジュラシック・ワールド」シリーズの第6作目で最終章・完結編とのこと 最後の作品だからか上映時間は2時間半弱とやや長尺 第1作目「ジュラシック・パーク」(127分・米・1993)と第2作目「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(129分・米・1997)は、いずれもマイケル・クライトン(1942~2008・米シカゴ出身)の同名原作小説をスティーヴン・スピルバーグ(1946~・米オハイオ州シンシナティ出身)監督が映画化 第3作目以降は原作の発想を生かしながらも独自路線のようだ 物語はややマンネリ化してきている感じがしたが、まさに現実に生きているような、数々の恐竜の自然な姿・映像には相変わらず感動 雪景色の中を恐竜が自由に動いているのにはやや驚いたが、マルタ島の街中で恐竜がバイクに乗った主人公をチェイスするシーンは斬新 撮影は2020年2月から開始されたが、途中新型コロナウイルス感染症の流行で何度か中断の上、秋には撮影を終えたようだ 恐竜がすでに世界中で人類と共生しているという前提なので、ロケ地は世界各地にまたがり、米国カリフォルニア州サンフランシスコ・ハワイ州オアフ島・ジョージア州アトランタ、マルタ共和国(マルタ島)、カナダ、英国、イタリアなど スタジオは英国のパインウッド・スタジオ(バッキンガムシャー州アイバー・ヒース、ロンドン西方郊外・ヒースロー空港の近く)とカナダのブリッジ・スタジオ(ブリティシュ・コロンビア州バーナビー、バンクーバーの隣町)が使用されたらしい 原題は"Jurassic World: Dominion"で、邦題は妥当か

e8ccaab61c0a90f2地下室の変な穴(74分・仏・ベルギー・2021) ⇒この不思議なタイトルの作品は、フランスのカンタン・デュピュー(1974~・パリ出身)監督が脚本・撮影・編集も兼ねて製作したもの 彼の作品が日本で公開されるのはこれが最初らしいが、これまで奇想天外な設定の物語をフランスの一流俳優を起用して数々映画化しているそうだ 郊外の一軒家の地下室にある穴に入ると「時間が12時間進んで、肉体が3日分若返る」という奇抜な設定から巻き上がる騒動を描く 主な出演者が中高年の俳優4人だけで速めの展開というフランス映画らしい作品だが、観客にはいろいろなことを考えさせる 人間というものは意外と単純で、女も男も若返りに執着するものだと感じさせる 女は美貌とスタイル、男はやはり精力が一番の課題らしい 原題は"Incroyable mais vrai"(仏)="Incredible but true"で、直訳は「信じ難いが本当」か

| | コメント (0)

2022年9月 4日 (日)

8月に観た劇場映画

8月は終盤になってやっと3本の劇場映画を観ることができた

サバカン SABAKAN(96分・日・2022)
アキラとあきら(128分・日・2022)
NOPE/ノープ(131分・米・2022)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

192d10035d825359サバカン SABAKAN(96分・日・2022) ⇒美しい大村湾に面した長崎の田舎町に住む2人の小学5年生が繰り広げる、誰にでも懐かしさと愛おしさを思い起こさせるひと夏の物語 「スタンド・バイ・ミー」(89分・米・1986)を彷彿とさせる 少し話はそれるが長崎県は大村湾をぐるりと囲んだ地域だと筆者は思う さて本作は少年主人公・久田孝明が成長した現在の姿から始まる 現在の久田は草彅剛(1974~・愛媛県三瓶町現西予市生まれ・埼玉県春日部市出身)が演じる そして1986年夏の回想に移り、境遇がかなり違う久田と竹本の2少年の話が展開 草彅は最終盤にしか再登場しない(ナレーションはやっているかも) 少年2人の演技も上手いが、久田の両親役の尾野真千子(1981~・奈良県西吉野村現五條市出身)と竹原ピストル(1976~・千葉県出身)の演技が秀逸で、長崎弁の掛合いは見物 昔の長崎弁では女が男に向かって「タマ潰すぞ」などと平気で言っていたのだろうか 本作は2021年夏に撮影され、ロケ地は大村湾に面した長崎県長与町、時津町などのようだ しかし、駅の場面は島原鉄道の古部駅(長崎県瑞穂町)らしくここは島原半島北部なのでNY有明海に面している その他西海市や長崎市でもロケ撮影が行われた模様 監督・脚本は元お笑い芸人の金沢知樹(1974~・長崎県出身)だが、故郷が長与町ということで彼の少年時代の自伝ではないかという声もある

47ddd1c41a298fc9アキラとあきら(128分・日・2022) ⇒池井戸潤(1963~・岐阜県加茂郡出身)の同名原作小説(2017・文庫)の映画化 原作小説は元々2006年から2009年にかけて月刊誌に連載されたもの 2017年にTVドラマ化され、今回改めて劇場映画化された模様 全く生立ちの違う2人の少年が東大卒業後大銀行員となり出世を競うが、お互いに挫折を経て2人共通のM&Aに携わり苦境を突破するという痛快な話ではある だだし時代設定が旧いので、現在の銀行は役割分担が進んでいて、大型M&Aは投資銀行、日本では証券会社などが担当していることから若干違和感があった 撮影は2021年7~8月に東京都、横浜市、さいたま市、千葉市、静岡県伊東市・東伊豆町・沼津市などで行われたようだ

1cb66f1684d4f9ccNOPE/ノープ(131分・米・2022) ⇒「ゲット・アウト」(103分・米・2017)で一気に脚光を浴びたジョーダン・ピール(1979~・米NY市出身・黒人)が脚本を書き監督した作品 「アス」(116分・米・2019)に次ぐ3作目だが、次々と社会課題や映像技術に挑戦しながらも、映画愛に満ちている作品を創作するのは流石 一言でいえば、本作はUFO西部劇的大スペクタクルで、恐ろしげな通奏低音と共に展開される映像は見物 ただ主観的には「ゲット・アウト」ほどの驚きはなかったか 主役に「ゲット・アウト」と同じダニエル・カルーヤ(1989~・英ロンドン出身・黒人)を起用 馬に乗る黒人は映画・映像の歴史的には意味があるそうだ IMAXカメラでの撮影を駆使し、撮影監督には「ダンケルク」(106分・英・米・仏・蘭・2017)や「TENET テネット」(151分・米・英・2020)でも活躍したホイテ・ヴァン・ホイテマ(1971~・スイス出身・蘭国籍)を起用 IMAXとは70ミリ・フィルムを横に使ってフィルム上のコマ(フレーム)を大きくして、それだけ高精細にした撮影方法 エンド・クレジットにはアーティスト名が100人程度登場するので、描かれた映像が大々的に活用されているものと思う ロケ地は米国加州LA地域一帯で、サンタ・クラリタの牧場、ハリウッドの街中、バーバンクの電気店などか 原題も"Nope"=「Noのスラング的言い方」で、「ムリムリムリ」という感じらしい

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2022年8月 1日 (月)

7月10日~7月30日の間に観た劇場映画

7月10日(日曜)~7月30日(土曜)の間には僅か1本の劇場映画しか観られなかった 外は猛烈に暑いし、オミクロン株は猛威を振るっているし、7月30日(土曜)には甥っ子の挙式があったので、最近はもっぱら再びの自粛生活 本件はかなり前の話になったが、やっとアップできた

★リコリス・ピザ(134分・米・2021)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

133575cadb4d8b51★リコリス・ピザ(134分・米・2021) ⇒舞台は1973年の米国カリフォルニア州サン・フェルナンド・バレー 携帯電話もスマホもSNSもない世界 サン・フェルナンド・バレーはロサンゼルス郡北西部の谷あいにある地域で、いくつかの市が含まれる 15歳の高校生ゲイリー・ヴァレンタインが10歳年上・25歳の写真撮影アシスタントのアラナ・ケインに一目惚れ ゲイリーは舞台子役としても活躍しており、アラナは写真撮影のためにたまたまゲイリーの通う高校を訪れたもの 若い男・少年は得てして年上の女性に憧れ恋するものだ そこからやや波瀾万丈・ハチャメチャなひと夏が始まるという青春群像劇でもある 1970年代に米国の学生生活の一端を味わった筆者には共感できる部分もかなりあった
米国映画産業関係者にとっては、本作はとてもとても映画愛に溢れたものらしい 全編にわたってオマージュやパロディや監督人脈による俳優起用などなど、見所満載のようだ 本作の監督はポール・トーマス・アンダーソン(1970~・米加州LA郡サン・フェルナンド・バレー出身)で、脚本・製作・撮影も兼ねる 彼はPTAと呼ばれ世界三大映画祭すべてで監督賞を受賞している 米国で3文字で名前を呼ばれることは、著名で尊敬され愛されていることだそうだ PTAはゲイリーに、盟友で名優のフィリップ・シーモア・ホフマン(1967~2014・米NY州ロチェスター出身)の息子クーパー・ホフマン(2003~)を起用 またアラナには、3姉妹で構成するポップ・ロックバンド「ハイム」の末娘アラナ・ハイム(1991~・サン・フェルナンド・バレー出身)をあてた 両者とも映画初出演のようだが、主役をやり切っている PTAは過去にハイムのMVや短編ドキュメンタリーを手がけていた ハイムは日本公演も何度か実施しているようだ またアラナの姉2人と両親も本作に出演しており、現実と同じユダヤ系のケイン家族として登場
オマージュやパロディも数多(あまた)で、まずゲイリーのモデルは映画・TVプロデューサーのゲイリー・ゴーツマン(1952~・LA郡出身)とのこと 彼は映画「羊たちの沈黙」(118分・米・1991)や「フィラデルフィア」(125分・米・1993)で製作総指揮を執っている 一時は子役としても活躍していたようだ 1998年からはトム・ハンクス(1956~・加州コンコード出身)と共同映画プロダクション会社を経営 次にウイリアム・ホールデン(1918~1981・米イリノイ州出身)らしき役をショーン・ペン(1960~・LA郡サンタモニカ出身)が、サム・ペキンパー(1925~1984・加州フレズノ出身)監督らしき役をシンガーソングライターのトム・ウェイツ(1049~・LA郡ボモナ出身)がそれぞれ演じている
さらに映画プロデューサーのジョン・ピーターズ(1945~・サン・フェルナンド・バレーのヴァン・ナイス出身)が実名のまま登場し、その役をブラッドリー・クーパー(1975~・米ペンシルベニア州フィラデルフィア出身)がカバー ピーターズは1970年代に歌手のバーブラ・ストライサンド(1942~・米NY州NY出身)と交際しており、彼女が主役・主題歌歌手を務めた映画「スター誕生」(140分・米・1976)の製作を担当した クーパーは3度目のリメイクである映画「アリー/スター誕生」(135分・米・2018)を監督(兼脚本・製作・主演)しており、その製作にもピーターズが加わっているという熱の入れよう このあたりがピーターズが実名で登場している理由かもしれない その他新進若手米国監督やレオナルド・デカプリオ(1974~・LA出身)の父親が出演するなどなど、PTA人脈の広さを感じさせ、ハリウッド映画人にとっては話題に事欠かないようだ
本作の撮影は2020年8月から11月にかけて、サン・フェルナンド・バレーを中心としたロサンゼルス郡一帯で行われたようだ 近所に丘陵もゴルフ場も多くある 原題も"Licorice Pizza" このタイトルは、1969年から1980年代後半にかけてカリフォルニア州南部で店舗を展開していたレコード販売チェーン店の名称から取られたものらしい 店名のイニシャルはLPとなり、LPレコードを含蓄しているとのこと

| | コメント (0)