カテゴリー「映画(2024年)」の6件の記事

2024年6月13日 (木)

劇場映画「帰ってきた あぶない刑事」を観て

劇場映画「帰ってきた あぶない刑事」を観て

e04092d928a8a8d3・帰ってきた あぶない刑事(120分・日・2024)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

監督:原廣利(はらひろと:1987~・東京都出身)

主演:舘ひろし(1950~・名古屋市出身):鷹山敏樹

助演:柴田 恭兵(1951~・静岡市清水区出身):大下勇次
浅野 温子(1961~・東京都大田区出身):真山薫
仲村トオル(1965~・東京都大田区出身):町田透
土屋太鳳(1995~・東京都世田谷区出身):永峰彩夏

大ヒットTVドラマシリーズから派生した作品だけあって、予想どおりの展開であり安心して楽しむことができた 本作が映画ランキングで高評価をとり、ほかに見るべき作品が余りなかったし、昼の用事が終わってちょうどよい時間帯だったので鑑賞 昔のTVドラマを楽しんだ高齢の方々が多く観客席に

TVドラマシリーズ「あぶない刑事」(1986~1987)そして続編の「もっとあぶない刑事」(1988~1989)はいつも視聴率20%前後と大ヒットしたらしい 残念ながら筆者は仕事しか頭になかった頃であり、また米国に赴任していた時期に大部分重なっていたのでほとんど記憶にない TVドラマシリーズとして75本以上製作し、また劇場映画シリーズとしては本作で7作目になるようだ

舘と柴田は相変らずスリムだが、浅野はかなり丸くなった感じ 土屋は若々しくてよかった 撮影は2023年に横浜市関内・中華街、千葉県市原市、神戸市ポートアイランドなどで行われたようだ

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2024年6月 2日 (日)

劇場映画「関心領域」を観て

劇場映画「関心領域」を観て

192d10035d8253591★関心領域(105分・米・英・ポーランド・2024)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

監督・脚本:ジョナサン・グレイザー(1965~・ロンドン出身)

原作:「関心領域(原題:The Zone of Interest)」マーティン・エイミス著(1949~2023・英ウェールズ出身・小説家・教授)2014・和訳あり(2024)

主演:クリスティアン・フリーデル(1979年~・独マクデブルク出身):ルドルフ・ヘス(1901~1947・独バーデン=バーデン出身)

助演:ザンドラ・ヒュラー(1978~・独ズール出身):ヘイトヴィヒ・ヘス

原題:The Zone of Interest

受賞:第76回カンヌ国際映画祭(2023)グランプリ、第96回アカデミー賞(2024)国際長編映画賞・音響賞

1940年4月から1943年11月までアウシュヴィッツ強制収容所(ポーランド)の所長だったルドルフ・ヘスが本作の主人公 ヘスは絞首刑になる前に詳細な手記を書き残しているという 原作はヘスとその家族、またナチス関係者に関する恋愛感情などを記述しているようだが、本作映画は原作から発想しているとはいえ、この原作とは別物とみた方がよいらしい ユダヤ人でもあるグレイザー監督は本作製作に10年間を費やし、ヘス夫妻に関する徹底的な調査を行ったようだ 関心領域とはアウシュヴィッツ強制収容所周辺の、親衛隊(SS)のために確保された地域を意味するとのことで、独語では"Interessengebiet"というようだ

本作の冒頭とエンドクレジット前に何も見えない暗い画面がかなりの時間出現 聴いたこともないような複雑怪奇な音が流れる 後から考えると、これは関心領域で生活する人々に日常聴こえていた背景雑音だったのかもしれない アウシュヴィッツ強制収容所に隣接したヘス夫妻の広い庭付き邸宅で展開される上流階級の普通の生活を克明に描いている 時々子供たちが拾った金属の歯で遊んだり、収容所から回されてきた衣類や貴重品を品定めする光景に驚かされる またヘス夫人が家庭菜園も含めた理想の生活を希求し、それを手放そうとしなかったことからは、戦時下の国の中ではまさに異常と平常が同時進行していたことが分かる 収容所で飢餓に苦しむ囚人たちのためにリンゴを置くために自転車で通った少女は、グレイザー監督が調査中に会ったポーランド人女性を実在のモデルとしているそうだ この部分はどうやら赤外線カメラで撮影されているのではないか

撮影は2021年夏に約2ヶ月間アウシュヴィッツで行われたとのこと オリジナルのヘス邸は終戦後は個人の邸宅となっていたため、収容所に隣接する近くの廃屋をレプリカ・セットとして改造したらしい また追加撮影が2022年1月に同じポーランドのイェレニャ・グラで行われたとのこと

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2024年5月23日 (木)

劇場映画「碁盤斬り」を観て

劇場映画「碁盤斬り」を観て

563a43207e7186b3★碁盤斬り(129分・日・2024)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

監督:白石和彌(1974~・北海道旭川市出身) 代表作:「虎狼の血」(2015・125分)

脚本:加藤正人(1954~・秋田県能代市出身) 書き下ろし小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』として2024年3月に刊行

主演:草彅剛(1974~・愛媛県西予市出生・埼玉県春日部市出身):柳田格之進

助演:清原果耶(2002~・大阪市出身):お絹
中川大志(1998~・東京都出生・茨城県出身):弥吉
奥野瑛太(1986~・北海道苫小牧市出身):梶木左門
國村隼(1955~・熊本県八代市出生・大阪市出身):萬屋源兵衛
小泉今日子(1966~・神奈川県厚木市出身):お庚
斉藤工(1981~・東京都港区出身):柴田兵庫
市村正親(1949~・埼玉県川越市出身):長兵衛
音尾琢真(1976~・北海道旭川市出身):徳次郎

草彅剛がいよいよ役者として開花・全盛期を迎えたように思う 古典落語の演目「柳田格之進」をベースに加藤正人が映画脚本化したものを、白石和彌が監督・製作 草彅は江戸の誇り高い武士の生きざまを描いた人情噺に登場する格之進になりきっていた 撮影は2023年2月初旬~4月上旬に主に東映と松竹の京都撮影所(京都市右京区太秦)で行われたようだ 近いとはいえ両撮影所間の往復もあり、時代劇独特の衣装・かつら・メークなどに時間を要するので、主役でも待ち時間がかなりある その間草彅は高倉健(1931~2014・福岡県中間市出身)のことを想い、高倉になろうといていたという

白石監督のオーラのせいか、草彅を囲む助演には豪華俳優陣が揃った ただし、映画とはいえ囲碁の話なので、そこも手抜きをしていない 日本棋院の高尾紳路九段(1976~・千葉市出身)を監修に迎え、江戸時代の棋譜を踏襲し、囲碁のプロが観ても全く違和感がないようにしている その上井山裕太王座(元七冠:1989~・大阪府東大阪市出身)、藤沢里菜女流本因坊(1998~・埼玉県所沢市出身)など5人のプロ棋士もエキストラ出演しているそうだ 筆者には予備知識がなかったので、プロ棋士たちがどのシーンで登場したのかは分からなかった 大体の想像は付くが…

終盤の殺陣のシーンも見所 草彅と仇敵・斎藤工の一騎打ちはなかなか 加藤の脚本により、最後に堅物一辺倒の格之進に片隅に追いやられた人々を思う広い心・惻隠の情を与えた 筆者も若い頃は時代劇を少々馬鹿にしていたが、最近少しずつ日本の美意識・様式を体現した分かりやすい庶民向けの時代劇が復活しつつあるのは頼もしいと思うようになった 彦根藩での出来事は、本物の彦根城(滋賀県彦根市)でロケ撮影されたとのこと また、近くの琵琶湖も撮影に使われたようだ

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2024年5月 3日 (金)

劇場映画「悪は存在しない」を観て

劇場映画「悪は存在しない」を観て

b3975cec500dfbfe★悪は存在しない(106分・日・2024)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

監督・脚本:濱口竜介(1978~・神奈川県川崎市出身)

主演:大美賀均(おおみかひとし:1988~・栃木県出身):安村巧

助演:西川玲(にしかわりょう:2014~・大阪府出身):安村花
小坂竜士(1985~・山口県出身):高橋啓介
渋谷采郁(しぶたにあやか:1991~・兵庫県出身):黛ゆう子

音楽:石橋英子(千葉県茂原市出身)

東京都心部での上映館が渋谷文化村1ヶ所だけだったので、鑑賞したのは旧渋谷東映 結構広い劇場だったが満席だった模様 満席の劇場体験は本当にかなり久々 これが続けば他の劇場での上映もあるかもしれない

鑑賞してからしばらくたつが、いまだ内容の理解が一定しない よく考えてみると結構不気味な作品でもあった 観客に物語展開に関する疑問を残し考えさせるという、濱口監督作品の特徴でもあると思う ユーモアもあるのだが、一筋縄ではいかぬという展開が欧州の映画関係者にも受けているのではないか

本作は2023年2~3月に主に長野県富士見町と原村でロケ撮影されたという 八ヶ岳高原などの自然の映像は美しく幻想的 神々しい甲斐駒ヶ岳(2967m)の雄姿も垣間観られた気がする 濱口監督は「ドライブ・マイ・カー」(179分・日・2021)でも音楽を担当した石橋英子のMV(ミュージック・ビデオ)製作のため、石橋の仕事場に近い現地に足を運んだらしい その映像も再利用し副次的に本作が出来上がったという

本作の主題は「自然対人間」という永遠で究極のテーマ 天然の水源により生活している地元住民とグランピング場施設開発により水源汚染を起こしかねない企業との対立である 本作では、まず地元の生活を描き、次に補助金も活用する開発企業との対話・対立に触れ、そして自然の中で人間が生きるという事実・意味を追及しているように思える 未踏の自然に一番先に入った人間が自然環境保護論主義者であり、次に来る人々は自然環境破壊者なのだろうか

主演の大美賀仁は監督の撮影スタッフであったが、監督に白羽の矢を立てられたそうだ 濱口監督は脚本の台詞をそのまま読むという本読み・リハーサルを大事にしているらしいが、大美賀はそのままに演じたという それが大自然の中で自給自足で生きている飾りのない人物を好演しているように思える

本作は第80回ヴェネツィア国際映画祭(2023)で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞している

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2024年4月28日 (日)

劇場映画「異人たち」を観て

劇場映画「異人たち」を観て

7477e4e46cdd2c94・異人たち(105分・英・2023)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

監督・脚本:アンドリュー・ヘイ(1973~・英国出身)

原作:「異人たちとの夏」山田太一(1934~2023・東京都台東区浅草出身)著・1987 英訳版・"Strangers"・2003

主演:アンドリュー・スコット(1976~・アイルランド・ダブリン出身):アダム

助演:ポール・メスカル(1996~・アイルランド出身):ハリー
ジェイミー・ベル(1986~・英国出身):アダムの父
クレア・フォイ(1984~・英国出身):アダムの母

原題:All of Us Strangers

夢とうつつ、彼岸と此岸を往き来する、一種のファンタジー作品だと思う ロンドンの高層アパート(マンション)に孤独に暮らす脚本家の主人公アダムが、過去に亡くなった両親や同じビルの住人と交信・交流する ゲイ(クィア)であることのカミングアウトなどを話題に物語は進む アンドリュー・ヘイ監督と主役アダムを演じるアンドリュー・スコットは実生活でもゲイとのこと ラブ・シーン、ベッド・シーンもあるので、やや毛深い男同士がと思うと筆者個人的にはやや落ち着かなかった

原作は昨年亡くなった脚本家・山田太一の小説「異人たちとの夏」 小説が出版されてすぐ後の1988年に大林宜彦監督(1938~2020・広島県尾道市出身)により映画化(110分) また舞台演劇化やラジオドラマ化もされた したがって、本作は英国での2度目の映画化(リメイク)になる ヘイ監督は英語版の原作を読んで自分の物語として映像化したかったようだ 当然ではあるが、舞台は浅草からロンドンに変わり、ヘテロがホモになっている またヘイ監督はプライベート感を強調するため、アダムの両親の家として自宅をロケに使用したとのこと

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2024年4月23日 (火)

劇場映画「オッペンハイマー」を観て

劇場映画「オッペンハイマー」を観て

4495f18a71bc5333★オッペンハイマー(180分・米・2023)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

監督・脚本:クリストファー・ノーラン(1979~・ロンドン出身)

原作:"American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer"(アメリカのプロメテウス:J・ロバート・オッペンハイマーの勝利と悲劇:2005 カイ・バード(1951~・米オレゴン州出身)とマーティン・J・シャーウィン(1937~2021・ニューヨーク市出身)の共著 邦訳なし)

主演:キリアン・マーフィ(1976~・アイルランド出身):J・ロバート・オッペンハイマー(1904~1967・ニューヨーク市出身)

助演:エミリー・ブラント(1983~・ロンドン出身):キャサリン・“キティ”・オッペンハイマー(1910~1972・独出身)
マット・デイモン(1970~・米MA州ケンブリッジ出身):レズリー・グローヴス(1896~1970・米NY州出身)
ロバート・ダウニー・Jr.(1965~・ニューヨーク市出身):ルイス・ストローズ(1896~1974・米ウエストヴァージニア州出身)

原題:Oppenheimer

遅ればせながら本作を鑑賞 3時間という長編であり、コマ切れにした時間映像を前後に交差しながら組み合わせており、またカラーと白黒の映像が頻繁に入れ替わったりするので、なかなか集中できないし理解しずらい どうやらカラー映像はオッペンハイマー視点からの描写であり、白黒映像はストローズ視点からのものらしい そして結果的にカラー部分は主に第二次世界大戦(1939~1945)前・中の出来事で、白黒部分は戦後の出来事になっているようだ これだけでもずいぶん分かりやすくなる ところで、すべての撮影は65㎜のフィルムで行われておりVFXは余り使用されていないようだ

ノーラン監督はオッペンハイマーの伝記(原作)を読んで彼の半生を克明に描きたくなったようだ 時系列は滅茶苦茶だが、構成は天才理論物理の学生・研究者・教育者時代、原爆開発のマンハッタン計画時代、そして第二次世界大戦後の赤狩りの時代の3つに分けられると思う 文学・哲学・生物学等にも優れていた天才は饒舌雄弁で時々舌禍癖もあり、究極のチェーンスモーカーだったが女好きでもあったようだ マンハッタン計画では数千人の科学者とその家族をニューメキシコ州ロスアラモスに移住させ、国立研究所として原爆開発のリーダーシップをとった 一転戦後はカリフォルニア州の共産党系の人々との交流や舌禍癖から厳しい赤狩りの対象となった

1942年にマンハッタン計画のリーダーに指名したのは米国陸軍のグローヴス准将(当時・最終は中将)であり最後まで支援 ロスアラモスに研究者たちを集めるにあたっては、オッペンハイマーの欧州での研究者たちとの交流が役立ったようだ ユダヤ系のオッペンハイマーはナチスドイツより先に原爆開発をとの使命に燃えるが、原爆が地球の大気を全焼させるのではないか、またこんな極端に強力無比な兵器を実際に使用していいのか苦悩 1945年5月のナチスドイツ降伏後、7月に核実験(トリニティ)が成功 原爆はオッペンハイマーの手を離れ、当時のハリー・トルーマン第33代大統領(1884~1972・ミズーリ州選出・在位:1945~1953)が日本に使用することを決定

戦後は米国原子力委員会の幹部そして後に委員長に就任したストローズが商務長官に昇進するための材料として、個人的にも嫌っていたオッペンハイマーを赤狩りの対象へ 本件に関する数々の描写が本作のクライマックスのようにも思える 戦前の共産党との関係、議会公聴会等での発言などが問題視され密室での尋問風公聴会を受ける 米国では戦後ソ連との対立関係により共産党が実質非合法化されているのだ 彼は妻キティと弁護士と共に闘い有罪にはならなかったが、1954年にセキュリティ・クリアランス(秘密保持許可)を剥奪された したがって、彼はその後公職には就いていない なお、1959年に上院でストローズの長官就任に反対した議員には、オッペンハイマーを高く評価していた当時のジョン・F・ケネディ上院議員(1917~1963・マサチューセッツ州選出・その後第35代大統領)も含まれる

本作は第96回アカデミー賞(2024)で作品書、監督賞、主演男優賞など7部門、また第81回ゴールデングローブ賞(2024)で最優秀作品賞(ドラマ)など5部門を受賞している

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